ななちゃんの本棚
風が強く吹いている

風が強く吹いている

三浦 しをん 新潮社 2009年7月1日

感想

駅伝というテーマで、こんなに多くの人々が共感を呼んでいるのだから、どんなストーリーなのか気になって手に取ってみました。 確かに、十人十色のランナーたちが各自の葛藤を抱えながら襷を繋ぐという設定は魅力的です。走ること=生きることという普遍的なテーマも、人生経験をそれなりに積んだ身には、一定の説得力がありました。ページを重ねるごとに、登場人物たちへの感情移入も深まっていきます。 ただ、正直に言えば、予想以上の感動や発見を得られなかったというのが本音です。青春小説としての熱量は確かにあるのですが、個人的には描写が少々一本調子に感じられました。もっと繊細な心理描写や、大人だからこそ見える別視点があれば、異なる印象を持ったかもしれません。 フリーランスという立場で、自分の限界と向き合う日々を送っている身からすると、「強く走る」というメッセージは心に留まります。ただ、それが新しい気づきにまで昇華しているかというと、微妙なところです。悪くない本ですが、期待値ほどの出会いではありませんでした。

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