本棚の住人の本棚
そして、バトンは渡された

そして、バトンは渡された

瀬尾 まいこ 文藝春秋 2020年9月2日

本屋大賞受賞作ということで、つい手に取ってしまいました。複雑な家族関係を描いた作品ですね。 主人公の優子が血のつながらない親たちから受ける愛情の話なんですが、正直なところ、ここまで好評な理由がよくわかりませんでした。まあ、いい話ではあるんですよ。人生を通じていろんな家族の形に出会い、その中で愛されてきたという設定は悪くない。ただ、私のような年寄りには、ちょっと感動が足りないというか、心に響く何かが欲しかった気がします。 登場人物たちは皆いい人で、優しい世界が広がっているんですけど、それがかえって淡白に感じられてしまってね。もう少し人間関係のドロドロした部分があったり、葛藤が深かったりすると、より魅力的だったのかなと思います。 読みやすさは確かにいい。文庫本だし、サクサク読めます。家族について考えさせられたい人や、温かい気持ちで終わりたい人にはぴったりだと思いますね。ただ、私個人としては「可もなく不可もなし」といったところです。