武士はつらいよ 駒形の観音様(5)

武士はつらいよ 駒形の観音様(5)

稲葉 稔

出版社:KADOKAWA 出版年月日:2026/02/25

KADOKAWA | 2026/02/25

4.50
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

シリーズも5巻目となると、キャラクターへの愛着もひとしおですな。今回の要之助の江戸での奮闘ぶりは、前の巻よりも一段と面白くなっていると感じました。 参勤交代で江戸へやってきた武士が、恋にやぶれてからの人間模様が実に良く描かれている。失恋で落ち込んでいるのに、周りの町の人たちとの関わりの中でだんだんと立ち直っていく様子が、こちらまで温かい気持ちになります。笑える場面も多いし、泣きそうになる場面もある。そういう緩急の付け方が上手なんですよ。 75年も生きていると、こういった人情話は本当にしみじみと響きます。むかし見た映画のようなのんびりとした江戸の町が目に浮かぶようで、読んでいて心が休まるような感覚ですね。毎回この作者の筆力に感心させられます。パート仕事から帰った夜、布団の中でゆっくり読むのにぴったりな一冊。続きも楽しみにしながら待つとしましょう。

感想

江戸時代の庶民生活を舞台にした痛快活劇というのは、つい身構えてしまう私ですが、このシリーズは見事に期待値を超えてくれました。 要之助というキャラクターの不器用さと純粋さが本当に魅力的です。参勤交代で江戸にやってきた武士が、芸者に恋焦がれて右往左往する様子は、一見コミカルなのに、どこか切実な人間らしさが感じられます。著者の筆さばきが巧みで、笑える場面と胸が締め付けられるような場面が自然に共存しているんです。 シリーズの第5弾という安心感もありますが、今作もスタンドアロンで楽しめる構成になっているのが良心的。時代小説によくある説教臭さもなく、江戸の町並みや人情が活き活きと描かれていて、読んでいて思わず江戸の空気を吸い込んだような気分になります。 何より、大人になった今だからこそ、他者の幸福を祈る優しさや、失敗から立ち上がる強さといったテーマが心に響くんです。気楽に楽しめるエンタテインメントでありながら、深い味わいがある。会社員生活で疲れた心を温かく癒してくれる一冊でした。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ