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武士はつらいよ 駒形の観音様(5)

武士はつらいよ 駒形の観音様(5)

稲葉 稔 KADOKAWA 2026年2月25日

感想

江戸時代の庶民生活を舞台にした痛快活劇というのは、つい身構えてしまう私ですが、このシリーズは見事に期待値を超えてくれました。 要之助というキャラクターの不器用さと純粋さが本当に魅力的です。参勤交代で江戸にやってきた武士が、芸者に恋焦がれて右往左往する様子は、一見コミカルなのに、どこか切実な人間らしさが感じられます。著者の筆さばきが巧みで、笑える場面と胸が締め付けられるような場面が自然に共存しているんです。 シリーズの第5弾という安心感もありますが、今作もスタンドアロンで楽しめる構成になっているのが良心的。時代小説によくある説教臭さもなく、江戸の町並みや人情が活き活きと描かれていて、読んでいて思わず江戸の空気を吸い込んだような気分になります。 何より、大人になった今だからこそ、他者の幸福を祈る優しさや、失敗から立ち上がる強さといったテーマが心に響くんです。気楽に楽しめるエンタテインメントでありながら、深い味わいがある。会社員生活で疲れた心を温かく癒してくれる一冊でした。

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