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成瀬は天下を取りにいく

成瀬は天下を取りにいく

宮島 未奈 新潮社 2025年6月25日

感想

本屋大賞受賞作という触れ込みで手に取りましたが、期待以上の傑作でした。 成瀬あかりという少女の奔放さと純粋さが、ページをめくる手を止めさせません。中学生が西武大津店の閉店に心を寄せ、お笑いコンビ結成、坊主頭での入学式——常識的には理解しがたい選択の連続なのに、なぜか応援したくなってしまう。その不思議な魅力が、この作品の最大の強みだと感じました。 39歳という年齢で読むからこそ余計に感じるのかもしれません。大人になると、こういう無邪気で、けれど本気の夢中さを忘れてしまう。会社での日常に埋もれていると、成瀬のように一つのことに全身全霊で向き合う姿勢に、心が揺さぶられます。 登場人物たちの関係性も丁寧に描かれており、クスッと笑える場面もあれば、じんと来る瞬間も。青春小説というジャンルに留まらない、人生に対する向き合い方について考えさせられました。慎重に本を選ぶ私が、この一冊を手に取ったことは本当に正解だったと思います。

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