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武士はつらいよ 駒形の観音様(5)

武士はつらいよ 駒形の観音様(5)

稲葉 稔 KADOKAWA 2026年2月25日

感想

シリーズも5巻目となると、キャラクターへの愛着もひとしおですな。今回の要之助の江戸での奮闘ぶりは、前の巻よりも一段と面白くなっていると感じました。 参勤交代で江戸へやってきた武士が、恋にやぶれてからの人間模様が実に良く描かれている。失恋で落ち込んでいるのに、周りの町の人たちとの関わりの中でだんだんと立ち直っていく様子が、こちらまで温かい気持ちになります。笑える場面も多いし、泣きそうになる場面もある。そういう緩急の付け方が上手なんですよ。 75年も生きていると、こういった人情話は本当にしみじみと響きます。むかし見た映画のようなのんびりとした江戸の町が目に浮かぶようで、読んでいて心が休まるような感覚ですね。毎回この作者の筆力に感心させられます。パート仕事から帰った夜、布団の中でゆっくり読むのにぴったりな一冊。続きも楽しみにしながら待つとしましょう。