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映画ノベライズ 岸辺露伴 ルーヴルへ行く

映画ノベライズ 岸辺露伴 ルーヴルへ行く

北國 ばらっど / 荒木 飛呂彦 / 小林 靖子 集英社 2023年5月26日

感想

映画化された作品の小説化というと、どうしても二次的な印象を持ちがちだが、本作はそうした先入観を見事に払拭してくれた。 荒木飛呂彦の世界観を、ノベライズという形式で再構築することの難しさを理解していたので、購入時は正直な所、半信半疑だった。しかし読み始めると、漫画家・岸辺露伴というキャラクターの深さと、ルーヴル美術館という実在の舞台が織りなす独特の緊張感に引き込まれた。 古い慕情と現在の執筆活動が交錯する中で、「黒い絵」という謎の存在が浮かび上がる構成は実に巧妙だ。映画とは異なる表現手法だからこそ可能な、心理描写の細やかさが随所に光っている。地下倉庫Z-13へと潜り込む緊迫感も、小説ならではの没入感で充分に伝わってくる。 フリーランスの身として、仕事に疲れた時にこうした奇想天外な物語に触れるのは貴重だ。軽くはない内容ながらも、読後の満足度は高い。慎重派の自分が躊躇なく薦められる一冊である。

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