最近、恋愛小説といっても様々な形があるものだなと改めて考えさせられました。この本は複数の短編を収めた作品ですが、どれもが「恋とは何か」という根本的な問いかけを優しく突きつけてくるようです。 74歳になると、人間関係の複雑さについてもそれなりに見えてくるようになります。三角関係や同性愛、片想いといった様々な恋のかたちが、決して特殊なものではなく、ごく当たり前に存在していることに気づきます。著者がおっしゃる「ただひとつの特別な光」という表現が、とても素敵だと感じました。 文庫本という手軽さも良く、一編ずつ読み進められるのが、仕事帰りの疲れた時間にもちょうどいい分量です。ただし、心理描写が細かく込み入っているため、一度読むだけでなく、時間をおいて再び手に取りたくなるような深さがあります。 これからの人生で、人間関係について思い悩むことがあれば、そっとこの本を開いてみようと思います。
最近登録された他の本の感想
2026年08月08日
孫の勧めで、ついにワンピースを読み始めました。64巻まで来ると、もうすっかりこのストーリーの世界に引き込まれてしまいますね。 この巻は魚人島での戦いが本格化する場面ですが、何より驚いたのは、物語が単なる冒険譚ではなく、亡き王妃の想いや理想といった深いテーマを扱っているところです。子どもの頃に読む漫画とは違う、人間関係や信念といった大切なことが描かれています。 年を重ねた今だからこそ、このような話の奥深さが理解できるのかもしれません。登場人物たちが困難に立ち向かう姿勢も素直に応援したくなります。絵もとても丁寧に描き込まれていて、毎回新しい発見があります。 正直なところ、こんな年になって漫画にこんなに夢中になるとは思いませんでしたが、良い本に出会えてよかった。次の巻も楽しみにしています。
2026年08月06日
室井滋さんのエッセーとなると、きっと面白いだろうと期待して手に取りました。著名な方の日常に起こるちょっと不思議なことを綴るということですから。 実際に読んでみますと、短編9編とエッセー10編が収録されているのですが、どれもそこそこ興味深いものではあります。ホテルでの話や心霊写真の話など、確かに日常の中に潜む非日常を感じさせてくれます。ただですね、正直なところ、大変驚かされたとか、ぞくぞくっときたとか、そういった強い感動というものがあまりなかったのが実感です。 慎重に選書している身としては、もっと心に残る物語があればと少し期待していただけに、その点ではやや物足りなさが残りました。悪い本ではないのですが、著名な方だからこそ、もう少し深い洞察やインパクトのある内容があってもよかったのではないかと思います。落ち着いた時間に読む分には悪くはないのですが、積極的にお勧めしたいほどではないというのが正直な評価です。
2026年08月01日
正直申し上げて、このタイトルを見かけた時は、私のような年代には関係のない本だと思いました。しかし文庫という手に取りやすいフォーマットと、エッセイの要素があるというご紹介に惹かれて、試しに読んでみることにしたのです。 読み始めてみると、これが予想外に面白い。新卒で内定を取り消された若い社長が、AIを活用して起業を目指すというお話なのですが、現代のビジネスの現実が、どうしてこんなにも興味深く描かれているのか。筆者の方の等身大の声が聞こえてくるような感覚を覚えました。 私たちの時代にはなかった、スタートアップというものの世界観。AIという最新技術への向き合い方。そうした新しい時代のお話であるはずなのに、根底にある人間らしい葛藤や工夫、それから努力といったものは、今も昔も変わらないのだということが心に響きます。 世代の異なる私でも十分に共感できる内容でした。若い方はもちろんのこと、こちらの世代にも強くお勧めしたい一冊です。
2026年07月20日
このシリーズも第6巻まで来たのですね。雇用制度をテーマにしたマンガということで、最初は少し難しいのではないかと心配していたのですが、良い意味で裏切られました。 図解と会話のやり取りを通じて、複雑な労働問題が実に分かりやすく描かれています。私自身、嘱託社員として働いているので、登場人物たちの悩みや疑問が他人事とは思えません。特に、キャリアの不安定さについての話は、じっくり考えさせられました。 マンガという媒体だからこそ、堅い理論も親しみやすく、つい続きが気になってしまいます。年配の世代にとっても、若い世代にとっても、現在の雇用環境について改めて考える良い機会になるのではないでしょうか。 これまでのシリーズを読んでいなくても楽しめますが、順を追って読むことでより深い理解が得られると思います。社会的なテーマを扱いながらも、エンタメ性を失わない作り込みに感心しました。多くの人に手に取ってもらいたい一冊です。
2026年06月24日
話題作ということで期待して手に取ったのですが、正直なところ、私にはちょっと合わせ難い作品でした。 ミステリーとしての仕掛けは確かに凝っていますし、美術館での殺人事件から始まる物語の運び方も工夫されています。ただ、登場人物の動きが慌ただしすぎて、心がついていけないんです。次々と現れる暗号や謎解きが続く中で、人物たちの感情や背景がほとんど見えてこない。誰を応援したらいいのか、何を重視すればいいのか、読んでいて不確かなままなのです。 また、美術や宗教史に関する講釈が長めに挿入される部分も、我慢強い方の私でも「ここまで詳しく必要だろうか」と思ってしまいました。そうした知識がストーリーを理解する上で本当に必須なのか、疑問が残ります。 上巻という位置づけなので、これからの展開に期待する部分もありますが、今のところ、続きを急いで読もうという気になっていません。丁寧な物語運びが好きな読者には、向き不向きが分かれる作品だと思います。
2026年06月20日
健康寿命のことを考えて、食事に気をつけようと思い手に取りました。タニタの社員食堂という信頼感があったのですが、実際に作ってみるとなかなか難しいところがありました。 レシピ自体は無理なくカロリーダウンできるよう工夫されていて、その点は評価できます。薬味や出汁を活かして味を落とさない工夫は参考になりました。ただ、私たち高齢者には少々問題があります。食材の下準備や調理工程が細かく、毎日31日分を回していくには正直な話、少し負担が大きいです。 また、使う調味料や食材も、田舎に住む私には入手困難なものが幾つかあって、代替案についての記載がもう少しあればよかったと思います。若い世代で時間に余裕のある方や、都市部にお住まいの方にはきっと向いている本だと思うのですが、私のような年代と生活環境には合致しませんでした。期待が大きかった分、残念な気持ちです。
2026年06月10日
話題になっていたこの本を、レビューをずいぶん読み比べてから購入しました。実在しない学園生活の辛さ、心が疲れた若い人たちへ向けた物語だろうと予想していたのですが、予想以上に深い内容で感動しました。 鏡をくぐった先の城というファンタジーの設定は、子どもにも大人にも共通する「逃げ場が欲しい」という心情をよく表現していますね。主人公こころをはじめとする七人の少女たちが、少しずつ心を開いていく過程がとても丁寧に描かれていて、読んでいて胸が詰まりました。 何より素晴らしいのは、最後に全てが繋がるときの構成です。仕掛けられた謎が明かされていく喜びと、その背景にある優しさに包まれます。生きづらさを感じている人、感じたことのある人なら、誰もが心に響く一冊だと思います。七十代になった今でも、こんなに心を揺さぶられる物語に出会えるとは。もっと早く読んでいればよかったと思うほどです。確かに一気読み必至ですね。
2026年06月09日
孫のすすめで初めて漫画にチャレンジしてみました。暴力的なシーンが多く、率直に申し上げて、この手の作品が本当に苦手です。 ストーリーそのものは理解できます。主人公がトキというお兄さんを救うために進んでいく、という筋立ては分かりやすい。ただ、次々と敵が現れて、殴り合う場面ばかり。読んでいて気が滅入ってしまいました。 これまで小説やエッセイで物語に浸ってきたので、絵が入ることで物語の魅力を損なわれている気がしてなりません。想像力の余地がないというか、細部まで見せられてしまう。特に男性キャラクターたちが、皆一様に筋肉隆々で怖い顔をしているのも、私の好みではありません。 ただ、多くの人に支持されている作品のようですから、これは純粋に私の好みの問題でしょう。若い頃からこういう漫画を読まれていた方なら、きっと楽しめるのだと思います。無理に続けるより、好きな小説に戻ろうと決めました。
2026年06月09日
最初、このタイトルを見たときは正直ピンときませんでした。でも、書籍の説明を何度か読み返してみると、「捨てられないモノ」というテーマがしっくりきて、思わず手に取ってしまいました。 開いてみると、伊坂幸太郎さんや吉本ばななさんなど、錚々たる作家さんたちが揃っていて驚きました。それぞれの視点から「モノとの関係」を描いた短編ばかり。着古した服、懐かしい文房具、子どもの頃のグッズ……どれもが自分の人生と重なるようなお話ばかりです。 特に心がとまるのは、若い頃の思い出や人とのつながりが、モノを通じてほんわかと蘇る描き方。読み終わると、自分の身の回りにある「何気なく置いてあるモノ」が、実は大切な記憶の入れ物だったんだな、と改めて気づかされます。 短編だから無理なく読め、文庫本なので気軽に持ち歩けるのも良いですね。ときに寂しさも感じますが、全体としては温かみのある一冊です。もう一度読み返したくなりました。
2026年06月08日
ボルヘスや澁澤龍彦といった大家たちに影響を与えた作家の短編集という触れ込みに惹かれて、慎重に選んで手に取ってみました。 全22編の短編が収められた本作ですが、正直なところ、すべてが私の心に響いたわけではありません。象徴主義的な表現は確かに独特で、凝った構成の作品も多いのですが、読んでいて「もう一度読みたい」と思わせるほどの強い印象を受けたものは限定的でした。 むしろ、何度も読み返してしまう短編と、一度読んで終わってしまう短編の差が大きいように感じられます。年を重ねた今、小説は物語の面白さだけでなく、心に響く何かが欲しくなるのでしょう。複雑な象徴表現よりも、人間の普遍的な感情に直結する言葉の力を求めているのかもしれません。 新訳と既訳が混在しているのも、作品によっての読みやすさに影響しているように思います。古典作品ゆえに味わい深い面もありますが、私のような齢の読者には、もう少し親しみやすい翻訳があれば、より楽しめたのではないでしょうか。
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