最近、仕事の締め切りに追われていたので、こういう気ままな旅エッセイが心に沁みた。超インドア派の漫画家さんが、友人を頼りに日本各地を飲み歩く——その気軽さと開き直り具合が最高だ。 何が良いって、観光地を「攻略する」みたいな気張った感じがまるでない。お腹が空くまで遊んだり遊ばなかったり、繁華街でピンときたお店に飛び込むだけ。そういう「決めない旅」って、実は一番自由で楽しいんだと改めて思わされた。 各地の街並みの描写も雰囲気があるし、訪れた飲食店での出来事も親近感がある。フリーランスとして時間は融通が効く立場だからこそ、この著者みたいな旅がいいなあって、つい妄想してしまう。次は自分も誰かを訪ねて、気の向くままに飲んで食べて歩いてみたくなった。続きも読みたい一冊です。
最近登録された他の本の感想
2026年07月29日
映画を観た後に小説版があると知って、つい手に取ってしまいました。正解でした。 岸辺露伴というキャラクターの魅力がたっぷり詰まった一冊です。漫画では味わえない、内面的な葛藤や思考の流れが丁寧に描かれていて、彼という人物をより深く理解できる感じがしました。フリーランスの自分としても、仕事への執着と創作への情熱のバランスを考える露伴の姿勢に共感するところが多かった。 ルーヴル美術館を舞台にしたミステリアスな雰囲気が絶妙で、ページをめくる手が止まりません。「黒い絵」の謎に引き込まれながらも、かつての片思いという人間くさい要素が織り交ぜられているのがいいですね。文庫本という手軽なフォーマットだからこそ、通勤時間や休憩中にさっと読み進められるのも気に入っています。 映画を観た人はもちろん、未見の方が読んでも十分楽しめる構成になっていると思います。短編ながらもしっかり世界観を構築していて、このシリーズのほかの作品も読んでみたくなりました。気軽に読める割に、読後の余韻が心地よく残る良質なノベライズです。
2026年07月23日
仙台の震災、貧困、犯罪——重い題材なのに、この本から溢れてくるのは温かさなんですよね。中心にいるのが一匹の野良犬・多聞というところが絶妙で、人間ドラマの厳しさを優しく包み込んでくれている感じがします。 和正が置かれた状況は本当に絶望的で、傷つきながらも家族を守ろうとする姿勢が切実。そこに多聞との関係が加わることで、物語全体が別次元の深さを持つようになる。犬の視点を混ぜながら進む構成も上手くて、何気ない日常の中に希望を見つけることの大切さが伝わってくる。 フリーランスの自分も、人生の選択肢や葛藤と向き合うことが多いから、登場人物たちの迷いや決断に共感できたんでしょう。読み終わった後、なぜか胸がすっきりしていて、同時にどこか温かい気持ちが残った。犬好きな人はもちろん、人間関係や人生について考えたい時期にある人に、特におすすめしたい一冊です。
2026年07月03日
ユージン・オニールについて書かれた本をたまたま書店で見かけて、アメリカの戯曲作家がどんな人物だったのか興味本位で手に取ってみました。 本書は、オニールの生涯と作品世界についてのエッセイというか評論という感じの構成になっていますね。19世紀から20世紀初頭にかけてのアメリカ演劇史の中で、彼がどういう位置づけにあったのかは理解できました。正直、オニール自身の作品をほとんど読んだことがなかったので、その背景知識を得られたのは良かった。 ただ、個人的には少し物足りなさを感じました。深く掘り下げられた部分もあれば、表面的に触れているだけの部分もあって、読んでいる途中でモーメンタムが失われるというか。もっと人間的な側面—彼の葛藤や創作の現場の空気感—が欲しかったなという印象です。 フリーランスで仕事の合間に気軽に読むにはちょうどいい分量だし、知的好奇心は満たしてくれる。でも「これはぜひ読むべき!」と誰かに勧めたくなるほどではないですね。その程度、という感じです。
2026年06月27日
東野圭吾の「マスカレード」シリーズ最新作、ようやく手に取りました。ホテルを舞台にした警察ミステリーって、正直最初は新鮮さに欠けるかなと思ってたんですが、これが意外と面白い。 新田浩介が警視庁を辞めてホテルの保安課長として活躍するという設定自体がユニークで、普通の刑事もの以上に様々な人間関係が絡み合う。選考会という限定的な空間の中で、死体遺棄事件の重要参考人が現れるというプロットも、スマートに構成されている。 東野さんの得意な「パズルを解く快感」をしっかり味わえるし、ホテルという非日常的な舞台が物語に華を添えてる感じ。フリーランスで時間融通がきく身としては、こういう気軽に楽しめるミステリーは重宝するんですよ。難しく考えずに、でもちゃんと謎解きの醍醐味も感じられる。 シリーズを通じての新田のキャラクター成長も好印象。続きがあるなら読みたくなる、そんな一冊です。
2026年06月19日
象徴主義の短篇作家だという触れ込みで手に取ったんですが、これがもう面白い。古代の王、未来の終末世界、歴史的な事件……時代も舞台も異なる短篇たちが、どれも不思議と同じ世界観で繋がっているような感覚に陥ります。 タイトル作の「黄金仮面の王」は本当に素敵で、病める王の絶望感がじわじわと伝わってくる。ボルヘスや澁澤龍彦に影響を与えたというのも納得で、言葉一つ一つが丁寧に積み重ねられていて、短篇とは思えないほどの深みがある。新訳も含まれているおかげで、古い表現との新しい訳の違いを楽しむのも味わい深い。 気軽に読める文庫本のサイズ感が良くて、朝の珈琲タイムにちょうど一篇読むくらいのペースで進められました。フリーランスの僕にとっては、仕事の合間に非日常へ没入できる相棒として重宝しそうです。22篇もあるから、何度でも繰り返し読みたくなる一冊ですね。
2026年06月14日
テレビで話題になってた「夫に突きつけた家事リスト」ってやつ、実際にどんな内容なのか気になって手に取ってみました。正直、家事の大変さなんてぼんやりとしか考えてなかったんですけど、読んでみたらそれがいかに傲慢だったかが分かりましたね。 野々村友紀子さんの辛口な文章って本当に切れ味がいい。夫が気づかない日々の家事のあるあるが、くすっと笑えるイラストと一緒に綴られていて、重くならずに読めるのが素晴らしい。同じフリーランス同士、時間管理の難しさは理解しているつもりだったけど、パートナーの見えない労働について改めて考えさせられました。 巻末の後藤輝基さんとの対談も、夫目線からの本音が垣間見えて面白かった。別に「男は悪い」みたいなステレオタイプに陥らず、ユーモアを交えながら家事分担について語ってるところが好感持てます。家のことについて話し合うきっかけになりそうな一冊です。
2026年06月12日
タイトルだけ見たときは、どんな重い話かと身構えてしまったけど、読み始めたら思わず引き込まれた。43歳独身、非正規雇用、婚活失敗という、一歩間違えば悲劇的に聞こえる設定なのに、著者の筆の運び方がとにかく絶妙なんだ。 毎日が「絶望」と言いながらも、工場での仕事の話、柴犬との何気ない時間、一人分の飯を作る日常——こうした場面の描写にいちいち味わい深い諦観とユーモアが漂っている。自分の人生をこんなふうに相対化できるって、すごく大事な能力だと思う。フリーランスの身からすると、「今日も」働いて「今日も」食べる日常の積み重ねの話が、妙にリアルに響いた。 社会的な「失敗」を定義されたとしても、そこにある人生の実感は本物だ。その矛盾や違和感をコミカルに、でも真摯に書き綴った作品。現代の孤立や不安について考えさせられるし、同時にクスッと笑える。気軽に読めるエッセイとしても、人生について考える一冊としても、良くできていると思う。
2026年06月11日
フリーランスになって数年、ようやく人生設計を真面目に考えるようになったので、FP資格の取得を目指してこの問題集を手に取りました。しかし正直なところ、期待していた内容とはズレがありました。 確かに過去問が厳選されているのは良いのですが、解説がかなり淡白です。なぜその答えになるのか、どの部分が重要なのか、もう一段階掘り下げた説明があれば理解も深まるはずなんですが、それが物足りない。赤シートで重要事項を隠して学べる工夫は評価できるものの、初心者にはこれだけでは正直キツイです。 また、問題の難易度が不均等に感じられて、簡単な問題と難しい問題の差が大きすぎる。本試験対策として打ってつけかというと、疑問が残ります。教科書とセットで使うことを前提にしているようですが、これだけで完結する問題集を期待していたので、そこが残念でした。気軽に資格取得を目指したい身には、もう少し親切な作りになっていてほしかったというのが本音です。
2026年06月11日
松浦弥太郎さんのシリーズは前から気になっていて、新書化されたということで手に取ってみました。衣食住から人間関係まで、生活の様々な場面での心がけを「100のきほん」として紹介するコンセプト自体は悪くないんですよね。 ただ正直なところ、読んでいてちょっと退屈してしまいました。一つ一つの項目が短いので、サッと読める気軽さはあるんですが、それぞれの内容が浅いというか、どこかで聞いたような一般的な自己啓発的な教えばかりなんです。「幸せを比べない」「こつこつと貯める」「りきまない」みたいな話って、世の中にあふれているじゃないですか。 フリーランスだからこそ、もっと具体的で実践的な視点を期待していたんですが、その辺りが物足りない。新書というフォーマットの限界もあるんでしょうけど、100項目も詰め込むより、少ない項目を深掘りする方が読み応えがあったんじゃないかなと思います。 気軽に読む本としては及第点ですが、特に心に残るものはありませんでした。
2026年06月11日
著者の初小説ということで手に取ってみたんですが、これが本当に良かった。高校生のアメフト部員が引退後の空白感とどう向き合うか、その過程がリアルに描かれていて、35歳の自分も思わず引き込まれてしまいました。 フリーランスという立場だからかもしれませんが、「何かにぶつかっていないと自分が生きているかわからなくなる」というあの表現がグッときたんです。社会人になってからも似たような感覚ってありますよね。主人公のアリが葛藤しながらも再び立ち上がっていく姿勢に、自分の人生と重ねるところがありました。 青春小説ってどうしても甘ったるくなりがちですが、この作品は苦さと爽快感のバランスが本当に上手い。短編を読むような気軽さで手に取れるボリュームなのに、読み終わった後の余韻がずっと残ります。最近小説を読む時間が減ってた自分にとって、本当に良い再会になりました。
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