青天

青天

若林 正恭

出版社:文藝春秋 出版年月日:2026/02/20

文藝春秋 | 2026/02/20

4.75
本棚登録:7人

みんなの感想

感想

青春の痛みってこんなに美しいんだと、久しぶりに心を揺さぶられました。アメフト部に所属する主人公が、引退後の宙ぶらりんな日々の中でもがき続ける様子が、本当にリアルで息づいている。自営業をしていると、人間関係の摩擦や失敗との向き合い方について考えることが多いのですが、この作品はそうした大人の葛藤にも通じるものを感じさせます。 人にぶつかることで自分が生きていることを確認するというテーマが、印象的です。失敗しても、周囲に迷惑をかけても、もう一度立ち上がろうとする勇気。そういう純粋で不器用な強さが、年を重ねた今だからこそ、ジーンと心に届きました。著者の渾身の初小説というのも頷けるほど、一つ一つのシーンが丁寧に描かれている。決して派手ではない青春の物語ですが、読み終わった後には何か大切なものを掴んだような気持ちになりました。気軽に読める小説が好きな私ですが、この作品はただ気軽なだけではなく、深い余韻が残る素敵な一冊です。

感想

話題になっていた本ということで手に取ってみたが、これは本当に良い作品だ。アメフト部という題材を通じて、高校生が直面する自分探しの葛藤が、実に生々しく描かれている。 敗北の後、目的を失い宙ぶらりんになる主人公・アリの心情がリアルで、41歳の自分もかつて経験した、あの何ともいえない閉塞感を思い出させられた。勉強にも身が入らず、かといって何をしたいわけでもない——そうした青春期特有の不安定さが、著者の筆によって見事に浮き彫りにされている。 特に印象的だったのは、「人にぶつかっていないと、自分が生きているかどうかよくわからなくなる」というフレーズだ。これは高校生だけに限った感覚ではなく、社会人になった今でも通じるものがある。仕事の中で常に何かと向き合い、ぶつかり合うことで初めて自分の存在を確認できる——そんなことを考えながら読んでいた。 著者の初小説とは思えないほど、心理描写が深い。青春の苦さと喜びが共存する世界観に引き込まれ、一気読みしてしまった。大人が読んでも響く、そんな秀作である。

感想

アメフト部の話なのに、スポーツ根性ものじゃなくて、むしろ青年の迷いや葛藤がど真ん中に据えられてるのが良かった。主人公・アリの「自分が生きてるのかわかんない」って感覚、すごくリアルで。高校卒業後の宙ぶらりんな時期、多くの人が経験してるけど、なかなかこんなに丁寧に描かれることってない気がする。 勉強にも進路にも気持ちが入らず、でも不良になる覚悟もないって、その微妙な心理状態がめっちゃ繊細に書かれていて、読んでて自分の高校時代とかを思い出しちゃった。受験期のモヤモヤした日々と、スポーツを通じて何かに打ち込みたいっていう欲求のぶつかり合いが、すごく人間らしくて素敵。 初小説とは思えないほど丸みのある語り口で、青春のきつさと楽しさが両方伝わってくる。最後まで読み終わったあと、自分も何かに全力でぶつかりたくなる気分になった。会社員生活で日々がルーチン化しちゃってるから、こういう本に出会うと心がリセットされる感じがして好き。

感想

管理職になって二十年近く、部下の育成や組織運営に頭を悩ます日々が続いていた。そんな時期に『青天』を手に取ったのだが、これが思いのほか心に響いた。 高校生が挫折と向き合い、もう一度立ち上がろうとする過程が、これ以上ないほど丁寧に描かれている。主人公アリが経験する「宙ぶらりんの日々」という状態が、妙にリアルで生々しい。誰もが人生で一度は味わったことのある、その感覚だ。著者の筆力で、青春時代の息苦しさと解放感が同時に伝わってくる。 年を取るにつれ、自分たちの世代は青春を「過去形」として扱いがちだ。しかし本書を読んでいると、その時期に感じていた葛藤や覚悟がどれほど大切だったかに気づかされる。部下たちを指導する身として、彼らの試行錯誤を見守る意味についても改めて考えさせられた。 誰かと「ぶつかる」ことの重要性が、さり気ない表現の中に繰り返し現れる。読み進むほどに、その言葉の重みが増していく。気軽に読み始めた一冊が、心に長く残る作品となった。

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