和也の本棚
感想

管理職になって二十年近く、部下の育成や組織運営に頭を悩ます日々が続いていた。そんな時期に『青天』を手に取ったのだが、これが思いのほか心に響いた。 高校生が挫折と向き合い、もう一度立ち上がろうとする過程が、これ以上ないほど丁寧に描かれている。主人公アリが経験する「宙ぶらりんの日々」という状態が、妙にリアルで生々しい。誰もが人生で一度は味わったことのある、その感覚だ。著者の筆力で、青春時代の息苦しさと解放感が同時に伝わってくる。 年を取るにつれ、自分たちの世代は青春を「過去形」として扱いがちだ。しかし本書を読んでいると、その時期に感じていた葛藤や覚悟がどれほど大切だったかに気づかされる。部下たちを指導する身として、彼らの試行錯誤を見守る意味についても改めて考えさせられた。 誰かと「ぶつかる」ことの重要性が、さり気ない表現の中に繰り返し現れる。読み進むほどに、その言葉の重みが増していく。気軽に読み始めた一冊が、心に長く残る作品となった。

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