読読日和の本棚
感想

青春の痛みってこんなに美しいんだと、久しぶりに心を揺さぶられました。アメフト部に所属する主人公が、引退後の宙ぶらりんな日々の中でもがき続ける様子が、本当にリアルで息づいている。自営業をしていると、人間関係の摩擦や失敗との向き合い方について考えることが多いのですが、この作品はそうした大人の葛藤にも通じるものを感じさせます。 人にぶつかることで自分が生きていることを確認するというテーマが、印象的です。失敗しても、周囲に迷惑をかけても、もう一度立ち上がろうとする勇気。そういう純粋で不器用な強さが、年を重ねた今だからこそ、ジーンと心に届きました。著者の渾身の初小説というのも頷けるほど、一つ一つのシーンが丁寧に描かれている。決して派手ではない青春の物語ですが、読み終わった後には何か大切なものを掴んだような気持ちになりました。気軽に読める小説が好きな私ですが、この作品はただ気軽なだけではなく、深い余韻が残る素敵な一冊です。