悼む人(上)

悼む人(上)

天童荒太

出版社:文藝春秋 出版年月日:2011/05/10

文藝春秋 | 2011/05/10

4.50
本棚登録:5人

みんなの感想

感想

直木賞受賞作という触れ込みで手に取った本作ですが、期待以上の出来栄えに驚きました。 主人公の坂築静人が全国を放浪して死者を悼むという一見奇異な行動から物語は始まります。合理的なエンジニア気質の私としては、当初この設定に首をかしげていたのですが、物語が進むにつれてその行為の重みと意味が徐々に明かされていく構成が秀逸です。 特に評価したいのは、登場人物たちが複雑に絡み合い、それぞれが「生と死」「愛と傷み」とどう向き合うかを問い続ける点。記者・蒔野の視点から、読者も静人の謎に引き込まれていきます。終末期がんという設定も単なる悲劇ではなく、人生の選択について考えさせる装置として機能しています。 上巻とのことで若干の不安もありましたが、物語の牽引力が強く、続きが気になってすぐに下巻を手に取ってしまいました。緻密に構成された人間ドラマとしての完成度は高く、直木賞受賞に納得できる一冊です。

感想

直木賞受賞作ということで、ちょっと構えながら手に取った一冊でしたが、これが本当に面白かった。不慮の死を遂げた人々を悼むために全国を放浪する坂築静人という、一見変わった主人公の行動を通じて、生と死、そして人間の根本的な繋がりについて考えさせられました。 自営業をしていると、人との関係や人生の予測不可能性をしみじみ感じることが多いのですが、この作品はそういった深い問題を、押し付けがましくない自然な流れで読者に問いかけています。複数の登場人物の視点から物語が展開していくので、それぞれの心情に寄り添いながら読み進められたのが良かった。 文字も大きめで読みやすい文庫本ですし、難しすぎず、でも考えさせられる。今の年代だからこそ、こういう本の味わい深さがわかるんでしょうね。上下巻とありますが、上巻を読み終わって下巻が気になって仕方ありません。気軽に読める良い本を見つけた、という満足感があります。

感想

直木賞受賞作ということで手に取ってみたんですが、想像以上に引き込まれました! 全国を放浪して故人を悼む坂築静人という、一見変わった主人公の行動を通して、「生と死」「愛と僧しみ」について考えさせられます。静人と彼を取り巻く人々——記者、母親、そして亡き夫に取りつかれた女——それぞれの視点から物語が描かれていくのがすごく面白い。複雑に絡み合ったストーリーなのに、読んでいて自然とページをめくる手が止まりませんでした。 特に印象的だったのは、死という重いテーマを扱いながらも、どこか温かさがある点。重すぎず、でもちゃんと考えさせられるバランス感覚が素晴らしいと思います。上巻ということで続きが気になるところですが、このまま下巻も読む予定です。 気軽に小説を読むのが好きな私でも、たまにはこういった深めの作品を読むのっていいなって改めて感じました。直木賞受賞作の名に恥じない、本当に良い一冊だと思います。

感想

直木賞受賞作というタイトルで手に取った一冊。「悼む人」という不思議なテーマに引き込まれた。 全国を放浪して他者の死を悼む主人公・坂築静人。彼の行為は一見すると奇異だが、読み進めるうちにその背景にある深い思いが見えてくる。蒔野という雑誌記者の視点から静人を調べていく過程も、ミステリー的な面白さがあって一気読みさせられた。 何より秀逸なのは、複数の人物を通じて「死」と「生」、そして「許し」というテーマを多角的に描き出していることだ。末期がんの母、夫を手にかけた過去を抱える女性など、各人が抱える苦しみや葛藤がリアルに響く。人生経験が増えた年代だからこそ、こうした問いかけが心に沁みるのだろう。 上巻から既に惹きつけられる力強さがあり、これは下巻へと一気に進むしかない。久しぶりに話題作を読んでみた値打ちがある。

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