masaの本棚
感想

タイトルだけ見たときは、どんな重い話かと身構えてしまったけど、読み始めたら思わず引き込まれた。43歳独身、非正規雇用、婚活失敗という、一歩間違えば悲劇的に聞こえる設定なのに、著者の筆の運び方がとにかく絶妙なんだ。 毎日が「絶望」と言いながらも、工場での仕事の話、柴犬との何気ない時間、一人分の飯を作る日常——こうした場面の描写にいちいち味わい深い諦観とユーモアが漂っている。自分の人生をこんなふうに相対化できるって、すごく大事な能力だと思う。フリーランスの身からすると、「今日も」働いて「今日も」食べる日常の積み重ねの話が、妙にリアルに響いた。 社会的な「失敗」を定義されたとしても、そこにある人生の実感は本物だ。その矛盾や違和感をコミカルに、でも真摯に書き綴った作品。現代の孤立や不安について考えさせられるし、同時にクスッと笑える。気軽に読めるエッセイとしても、人生について考える一冊としても、良くできていると思う。