ゆーきの本棚
九十歳。何がめでたい

九十歳。何がめでたい

佐藤 愛子 小学館 2016年8月1日

感想

最近、新聞で映画化のニュースを見かけてから、この本が気になってしょうがなかった。93歳の佐藤愛子さんが書いた『九十歳。何がめでたい』だ。 手に取ってみると、タイトルから漂う「ヤケクソ」の匂いに引き込まれた。同じような年代を迎えつつある身としては、正直なところ、ありのままの年寄りの気持ちが書かれているのが何ともいい。世間一般的な「敬老の日」的な美化された老人像なんか吹き飛ぶような、本当の人間くささが溢れている。 『女性セブン』に連載されていたというだけあって、一篇一篇が読みやすく、どこからでも拾い読みできるのがありがたい。いちいち背を正して読む必要もなく、気の向いた時に手に取って、クスッと笑ったり、深く頷いたりできる。これぞエッセイの醍醐味だと思う。 作家としての幕を下ろしたはずが、再び上げたという背景も興味深い。長く生きてきたからこそ見える世界、言える言葉がこんなに生き生きしているのは素晴らしい。映画も見てみたいと思わせる一冊だ。

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