ゆーきの本棚
きまぐれカプセル

きまぐれカプセル

星 新一 新潮社 2026年8月28日

感想

星新一とはもう四十年以上の付き合いになる。若い頃からショートショートの鮮烈さに魅せられ、彼の本は何冊も愛読してきた。その大家が生誕百年を迎えるとあって、この『きまぐれカプセル』を手に取らずにはいられなかった。 本書は単なるエッセイ集ではない。幼少期から晩年まで、時系列で並べられた九十一編を読み進めると、ひとりの知識人の思考の軌跡がありありと浮かび上がってくる。UFOへの熱中、江戸川乱歩との交流、和田誠との友情――これまで知らなかった側面が次々と明かされる。 なによりも驚いたのは、ユーモアの深さだ。五千年後のタイムカプセルに何を入れるか、という発想の豊かさ、そして人生経験から滲み出る達観の味わい。八十の身で読むと、人間が時間とどう向き合うか、という根本的な問題が静かに胸に落ちてくる。真鍋博のカバーイラストも素晴らしく、懐かしさと新しさが交錯する。 話題の一冊というだけでなく、本当に良い本だった。

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