新装版 一絃の琴

新装版 一絃の琴

宮尾 登美子

出版社:講談社 出版年月日:2008/04/15

講談社 | 2008/04/15

4.33
本棚登録:6人

みんなの感想

感想

直木賞受賞作という触れ込みで手に取った本ですが、これは本当に素晴らしい作品でした。 一絃琴という、ただ一本の弦で奏でられる楽器を題材にした物語です。明治という時代に、土佐の上士の娘が、祖母から受け継いだこの琴に魅せられ、人生を捧げていく様が見事に描かれています。読んでいて感じるのは、女性たちの矜恃と情念の深さ。結婚によって一度は封印された夢を、夫の理解を得て再び花開かせる苗の人生、そして彼女との確執を通じて伝統を受け継いでいく弟子の蘭子。二人の女性の人生が、一絃琴の音色とともに交差していく様は、本当に感動的です。 文庫本というのも嬉しい。手軽に読めるので、何度も手に取りたくなる。明治の女性たちの生き方を通じて、今を生きる私たちが学べることは多いと思います。話題の作品だけあって、読んで損のない一冊。年配の読者にこそお勧めしたい傑作です。

感想

直木賞受賞作という触れ込みに惹かれて、慎重に評判を確認した上で手に取った一冊だ。一絃琴という、ほとんど聞いたことのない楽器を中心に据えた歴史小説というのも珍しく、その点でも興味をそそられた。 読み進めると、土佐藩という限定的な舞台設定の中で、女たちがいかに自らの矜恃を守り続けたかという普遍的なテーマが浮かび上がる。一絃のみという限定性が逆説的に、その音色の奥深さと、それを伝承しようとする登場人物たちの情念の深さを引き立てている。 フリーランスとして生きる身として、苗が市橋塾を興し隆盛させるくだりには、職業を越えた共感を覚えた。自分の道を貫くことの難しさ、しかし同時にそこに求められる覚悟が、平易な文体でありながらしっかり伝わってくる。 師弟の関係性、世代を越えた葛藤と受け継がれていくもの。文庫本という手軽さで読める分量でありながら、読後には相応の深い余韻が残る。レビューを重ねて選んだ甲斐のある作品だった。

感想

直木賞受賞作ということで手に取りましたが、期待以上の面白さでした。一絃琴という限定的な楽器を通じて、明治時代の女性たちの人生と葛藤を描いているという設定だけで既に惹かれていたのですが、読み進めるにつれてその奥深さに引き込まれました。 師弟の関係、愛する者との死別、そして伝統を守ることの難しさ。エンジニアとしてコード書いてる身ですが、こういう人間ドラマ、特に女性たちの矜恃と情念の描写は本当に素晴らしい。苗と蘭子の確執のくだりは特に胸を打たれました。 文庫本という手軽さもあって、通勤時間や休憩時間に気楽に読めるのがいいですね。重くなりすぎずに深い物語を味わえるバランス感覚が秀逸だと思います。一絃琴という地味な楽器だからこそ、かえって音色の表現が活きてくるというか。久しぶりに心が満たされる読書体験ができました。

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