ゆーきの本棚
透明な夜の香り

透明な夜の香り

千早 茜 集英社 2020年4月3日

感想

最近、書店の話題本コーナーで目にすることが多かったので、手にとってみました。香りという感覚を主軸にした物語という設定は確かに興味深いのですが、読み進めてみると、やや期待と異なる部分が多くありました。 調香師の天才性と孤独という題材は魅力的ですし、登場人物たちの秘密が香りで解き明かされていく仕掛けも、はじめは面白いと感じました。しかし、中盤以降、その香りと人物の心情の結びつきが少々くどく感じられてしまい、物語のテンポが落ちてしまったような印象です。 また、二人の主人公の関係性の進み方も、やや急ぎ足で唐突に感じる場面がありました。もう少し丁寧に描き込まれていれば、より深い感動があったのではないでしょうか。 話題作ということで期待を持って読みましたが、八十歳の人生経験からすると、もう少し人間関係の機微がじっくり描かれた作品の方が、心に響くように思います。

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