正欲

正欲

朝井 リョウ

出版社:新潮社 出版年月日:2023/05/29

新潮社 | 2023/05/29

4.00
本棚登録:6人

みんなの感想

感想

読んでから何日経っても、この本の余韻が消えません。各書評サイトで高評価を見かけて慎重に手に取ったのですが、それだけの理由がある作品だったなと実感しました。 多様性を尊重する時代だからこそ見落とされるものがあるのではないか、という問い掛けが、この物語の核にあるのだと思います。三人の登場人物それぞれの視点から見える世界が、真摯に丁寧に描かれています。息子さんの不登校で揺らぐ父親の心理描写は特に胸が締め付けられました。自分の子育ても他人事ではない気がして。 決して読みやすい話ではありません。むしろ構成も複雑で、一度読み終わったあとも「あの場面、こういう意味だったのか」と考え直すことばかり。でもそれがこの小説の力なのだと感じます。社会的な議論もある内容ですが、著者の視点は非常にニュートラルで、読み手にいろいろ考えさせてくれます。 確かに重い内容ですし、万人向けとは言えません。ですが、その分だけ読む価値のある傑作だと思います。ぜひ多くの人に読んでほしい一冊です。

感想

現代社会の"多様性"という理想が、実は多くの人々を無意識に縛っているんじゃないかという問いかけが、この作品の核になっていて、その視点の鋭さに引き込まれました。 異なる立場の三人の登場人物の視点を通じて、それぞれが背負う秘密や葛藤が丁寧に描き出されていく構成が見事です。エンジニアとして複数の要件を整理する仕事をしているせいか、複数の視点が交錯する物語構造は特に読みやすく感じました。一見すると独立した人生が、ある事件を軸に予想外の形で交わっていく過程は、ミステリーを読むような緊張感があります。 ただ、慎重に選書するタイプなので最初はレビュー評価を確認してから手に取ったんですが、その通りの傑作でした。簡単には答えが出ない、読み終わった後も考え続けてしまう重さがあります。世間一般に「良い話」と思われるものに異議を唱えるような内容なので、人によっては受け付けない可能性もあると思いますが、現代を生きる私たちにとって重要なテーマに真摯に向き合った作品として、強くお勧めできます。

感想

話題作ということで読んでみたんですが、正直なところ期待と現実のギャップが大きかったです。多様性と秩序のテーマは確かに重い問題を扱っていて、設定も面白いと思いました。ただ、複数の視点で話が進むため、どうしても焦点がぼやけてしまう印象を受けたんですよね。 キャラクターたちの人生が交差していく構成は意図的だと分かるんですが、それぞれの人物が深掘りされる前に話が進んでしまうというか。特に中盤は登場人物の多さに、ついていくのが大変でした。著者の主張したいことは伝わってくるんですけど、それが物語として昇華されているかというと、少し物足りなさを感じます。 ただし、あくまで個人の感想なので、このテーマに強い興味がある人や、複雑な人間関係を読み込みたい人には合うかもしれません。僕はどちらかというと登場人物に感情移入できる話が好きなので、慎重に選んだ割には期待値に届かなかったという感じです。読んで損はないと思いますが、レビューを参考に吟味した方がいいですね。

感想

ずっと買うかどうか迷っていた一冊でしたが、複数のレビューで「読む前の自分には戻れない」という表現を見かけて、思い切って手に取ってみました。その表現は決して誇大ではありませんでした。 三人の登場人物の人生が交差する中で、現代社会が掲げる「多様性の尊重」というテーマが、次々と問い直されていきます。著者が鋭く指摘するのは、私たちが想像できる範囲の多様性だけを礼賛し、それ以外は無視しようとする傲慢さ。フリーランスとして生きている身としても、世間の「正解」に収まらない選択をすることの複雑さが身に染みます。 息子の不登校、初恋、秘密を抱える日常。個性的なキャラクターたちが背負う事情は決して単純ではなく、読み進めるにつれて判断が揺らぎます。その揺らぎこそが、この作品の強さなのだと感じました。長編ですが引き込まれるペースで、一気読みしてしまいました。読後、人間関係や多様性について考え直す機会をくれた、良い一冊です。

感想

新潮社の文庫本ということで手に取ってみたんですが、正直なところ、期待と現実のギャップを感じた一冊ですね。 "多様性"という現代的なテーマに正面から向き合った作品で、そこは評価したいポイント。複数の登場人物の視点から同じ事件を見つめることで、一見すると正しいと思っていることが本当にそうなのか?という問い自体が興味深いんです。新社会人の自分にとっても、社会的正義について改めて考えさせられました。 ただ、長編にしては物語の盛り上がりに波があって、読んでいて退屈に感じる部分も結構ありました。テーマは良いんですが、キャラクターの深掘りがもう少し必要だったように思います。また、ラスト付近の展開も、読んだ後に「え、これ?」という感じで、もやもやが残ってしまう。 慎重派なので、事前にレビューを色々見てから読んだんですが、評価が分かれるのも納得です。強く推奨とは言えませんが、テーマに興味がある人なら読んで損はないかなと。時間に余裕がある時の読書候補としてはいいかもしれません。

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