ゆーきの本棚
感想

最近の文庫本コーナーで目に留まった作品です。講談社から出ている『神の蝶、舞う果て』、手に取ってみて正解でした。 ファンタジーとエッセイの要素が交じり合った独特の世界観が魅力的。神聖でありながら恐ろしいという相反する要素を持つ〈闇の大井戸〉という舞台設定が、読者の想像力をかき立てます。少年ジェードと少女ルクランというキャラクターたちが、予兆の鬼火という謎めいた現象に巻き込まれていく様子は、ページをめくる手が止まりません。 本文に引用されている「偶然って、本当にあるのかしら」という問いかけが印象的でした。この言葉が物語全体を貫く哲学的なテーマとなっており、年を重ねた身としては、人生における必然と偶然について改めて考えさせられます。 描写が丁寧で、幻想的な世界に引き込まれながらも、登場人物たちの内面的な葛藤がしっかり伝わってきます。話題の新作として評判になるのも納得できる完成度です。八十路の身にとって、このような作品に出会えるのは本当に幸せなことですね。

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