ゆーきの本棚
俺たちの箱根駅伝 上

俺たちの箱根駅伝 上

池井戸 潤 文藝春秋 2024年4月24日

感想

駅伝の季節がやってきたというニュースを見ていて、ふと目に留まったのがこの作品だった。池井戸潤というと、これまでビジネス小説で有名な作家だと思い込んでいたのだが、箱根駅伝を題材にした長編を書いているとは。正直なところ、意外な選択だなと感じたほどだ。 読み始めると、若き大学ランナーたちの青春、そして報道陣の葛藤まで絡み合った複雑な人間ドラマが浮かび上がる。古豪校が陥った低迷から脱却しようとする過程が、丹念に描かれている。主将・青葉隼斗の苦悩と決意には、かつての若い日々を思い出させられた。 80年も生きていると、本来であれば新しい題材には疑わしさを覚えるものだが、この作品は違った。人間の本質——努力、挫折、そして再生——は、時代がどう変わろうとも変わらないのだということが、この小説からは伝わってくる。上巻の終わり方も巧みで、下巻がどうしても読みたくなってしまった。ドラマ化も決まっているとのことだが、この物語の深さを画面でどう表現するのか、楽しみなところである。

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