ゆーきの本棚
あしたの君へ

あしたの君へ

柚月 裕子 文藝春秋 2019年11月7日

感想

柚月裕子の新作と聞いて、さっそく手に取ってみました。定年してからは話題の本を逃さないようにしているもので、この著者の作品は必ずチェックしているのです。 この『あしたの君へ』は、家裁調査官という仕事を通じて、人間ドラマの本質に迫る作品ですね。主人公の望月大地が少年事件に関わる中で出会う様々な人生——窃盗事件の少女、ストーカー事案の高校生、親権を争う両親たち。一つ一つのケースが非常によく描き込まれていて、引き込まれました。 これまで数多くの小説を読んできましたが、この作品の素晴らしいところは、単なるミステリーや感動ストーリーに留まらず、人間が「どのように変わるのか」という深いテーマを掘り下げている点です。調査官補として関わることで、他者の人生にどう寄り添うのか——その難しさと尊さが丁寧に描かれています。 今の時代、こうした地道で本当の意味での人間関係を描く作品は貴重です。文庫本という手軽さも良い。年配の読者にも、若い世代にも強くお勧めしたい一冊ですよ。

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