本男の本棚
白ゆき姫殺人事件

白ゆき姫殺人事件

湊 かなえ 集英社 2014年2月1日

感想

映画化されたということで手に取ってみたが、これは実に面白い。一人の女性が殺された、その事実は変わらないのに、ネットの噂や週刊誌の報道が独り歩きして、誰もが容疑者になり得る状況が描かれている。今の時代、まさに起こり得る話だなと思わずにいられない。 著者がうまいのは、複数の視点から物語を構成することで、読者自身も登場人物たちと一緒に真犯人は誰なのかと考えさせられること。事件の真相がどうなるのか、ページをめくる手が止まらなくなった。自営業をしている身としても、職場の人間関係の微妙な距離感や、ちょっとした行き違いから生まれる疑いや憎悪の感情がリアルに感じられた。 終盤の展開には少々驚かされたが、この本が問いかけているのは事件の犯人探しだけではなく、我々が他者をいかに簡単に裁いてしまうのかということなのだろう。文庫本で気軽に読める長さも良い。機会があれば映画も見てみたいと思っている。