白ゆき姫殺人事件

白ゆき姫殺人事件

湊 かなえ

出版社:集英社 出版年月日:2014/02/01

集英社 | 2014/02/01

4.33
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

映画化されたということで手に取ってみたが、これは実に面白い。一人の女性が殺された、その事実は変わらないのに、ネットの噂や週刊誌の報道が独り歩きして、誰もが容疑者になり得る状況が描かれている。今の時代、まさに起こり得る話だなと思わずにいられない。 著者がうまいのは、複数の視点から物語を構成することで、読者自身も登場人物たちと一緒に真犯人は誰なのかと考えさせられること。事件の真相がどうなるのか、ページをめくる手が止まらなくなった。自営業をしている身としても、職場の人間関係の微妙な距離感や、ちょっとした行き違いから生まれる疑いや憎悪の感情がリアルに感じられた。 終盤の展開には少々驚かされたが、この本が問いかけているのは事件の犯人探しだけではなく、我々が他者をいかに簡単に裁いてしまうのかということなのだろう。文庫本で気軽に読める長さも良い。機会があれば映画も見てみたいと思っている。

感想

話題になった作品だから手にとってみたが、これは期待値を大きく超えた傑作だ。化粧品会社での美人社員殺人事件という設定は一見ありふれているが、真犯人を巡るミステリーの仕掛けが秀逸である。 何より印象的なのは、ネットの憶測と週刊誌報道がどのように無実の人物を追い詰めていくか、その恐ろしさをリアルに描いている点だ。現代社会で実際に起きうる状況として、他人事とは思えない緊迫感がある。複数の視点から真実に迫っていく構成も巧みで、一気読みさせられた。 登場人物たちがそれぞれ何らかの秘密や思惑を抱えており、その層の厚さが物語に深みを与えている。正義とは何か、真実とは何かという根本的な問いを投げかけながらも、エンターテインメントとしての完成度も高い。 58年の人生で数多くの小説を読んできたが、この作品の持つ現代性と完成度の高さは本当に素晴らしい。映画化されるのも納得だ。同年代の方にも、若い世代にも強くお薦めしたい一冊である。

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