御子柴礼司シリーズの第6弾というので迷わず手に取りました。今回も期待を裏切らない面白さですね。 高級介護施設での大量殺人事件という、現代的で深刻なテーマを扱いながらも、主人公の悪徳弁護士・御子柴のキャラクターが立っているおかげで、ぐいぐい引き込まれます。酌量の余地のない被疑者の弁護を引き受けるという、一見すると矛盾した設定ですが、この男の胸に秘めた企みがどう展開していくのか、最後まで目が離せませんでした。 文庫本のコンパクトなサイズながら、登場人物の心理描写が丁寧で、単なるミステリーではなく人間ドラマとしても深い。正義と悪、法と倫理といった複雑なテーマが織り込まれているのに、読み始めたら止まりません。自営業で忙しい身ですが、寝る時間を削ってでも続きが気になってしまいました。ドラマ化されているというのも納得です。気軽に読める娯楽小説としても、考えさせられるエッセンスとしても秀逸な一冊。シリーズをまとめて揃えたくなりますね。
最近登録された他の本の感想
2026年06月01日
池井戸潤の新作ということで、つい手にとってしまいました。M&Aというビジネスの舞台設定は、自営業をやっている身としては興味深いところです。 ただ、正直なところ、期待していたほどの興奮には至りませんでしたね。登場人物たちの思惑が複雑に絡み合い、裏切りや陰謀が次々と起こるという設定自体は悪くないのですが、どうも話が散漫な印象を受けてしまいました。ビジネス小説としての説得力という点でも、もう一歩足りない感じがします。 著者の得意な人間関係の機微を描く部分は相変わらず秀逸なのですが、この作品ではそれがストーリーの重厚さと必ずしも噛み合っていないように感じました。読み終わった後、「そこそこ面白かったな」という程度の満足感で、心に残るような余韻がありませんでした。 気軽に読む分には悪くない作品ですが、池井戸潤の他の作品と比べると、やはり見劣りしてしまいます。時間に余裕があるときの一冊として、といったところでしょうか。
2026年05月06日
仕事で躓いたり、人間関係に疲れたり、そういう時期ってあるんですよね。この本は、そういった現代人の悩みに真っ正面から向き合う一冊です。 著者が提唱する「悩む力」という考え方が、なかなか面白い。悩みから逃げるのではなく、悩みと付き合いながら生きていくこと。夏目漱石やマックス・ウェーバーの言葉を引きながら論じられているので、古くて新しい知恵が詰まっています。 自営業をしていると、決断の連続で迷うことばかり。でもこの本を読んでいると、その迷いや悩みも大事な経験なんだと納得できる。本当の強さって、悩みから逃げずに向き合う中に生まれるんだなと改めて感じました。 新書というコンパクトなフォーマットも良くて、通勤の移動中や休憩時間にさっと読める。難しい内容ですが、説明が丁寧で読みやすい。人生経験が増してきた年代だからこそ、その重みが心に響きます。気軽に読める割には、じっくり考えさせられる。本当にいい本に出会ったなという満足感があります。
2026年05月06日
孫の影響もあって絵本には興味があり、この本を手に取ってみました。有名な絵本4作品を、それぞれ異なる識者が解説するという企画のようです。 ただ率直に言って、期待と違いました。絵本そのものの魅力や素朴さを味わいたかったのに、各回の解説が哲学的で小難しすぎるんです。「生きることの根源的な苦悩」だの「人生における本当の幸せ」だの、そうした深読みばかり。絵本本来の温かさや素直な感動が薄れてしまう気がします。 自営業で長年やってきた身としては、理屈っぽい説明より、シンプルに心に響く表現の方が好きですね。もう少し読みやすく、肩肘張らない構成だったら良かったのに。絵本の解説本としては、もっと気軽に楽しめるアプローチがあってもいいのではないかと感じました。大人向けの深掘りも理解できますが、このタイトルと内容のズレが残念です。
2026年05月06日
日ごろいろいろなジャンルの本を読んでいるが、この新書シリーズは何か息抜きになって良い。6巻目ともなると、登場人物たちの運命がどうなっていくのか気になって、ついついページをめくる手が止まらなくなってしまった。 白い服に赤い目のウワサと、彼の周りの人間たちの関係性が段々と深まっていく様子が心に染みる。特にマコトという存在が重要になってくるところが面白い。主人公の使命と、周囲の者たちの思いが複雑に絡み合う緊迫感がたまらない。呪いを解く鍵が神社にあるという設定も、一つの謎解きとして楽しめた。 新書という手軽なフォーマットなので、移動中や休憩時間にさっと読める。なのに、内容は思いのほか濃くて充実している。若い頃読んでいたファンタジーものとは違う面白さがある。これ以上続くのかは分からないが、もしあれば続きが気になるところだ。気軽に読める娯楽小説を求める方には、本当にお勧めしたい一冊である。
2026年04月01日
久しぶりにファンタジーにハマってしまいました。新装版ということで手に取ってみたんですが、これが本当に面白い。 主人公ウォルと少女リィの王座奪還の旅という設定だけだと、ありがちな話かなって思ってたんですけど、二人に加わる仲間たちのキャラクターがとにかく魅力的です。山の民をはじめとした個性的な人物たちが、どんな風に物語に関わっていくのか。そこが読んでて楽しい。 何といっても、ぐいぐい引き込まれる筆力ですよ。夜寝る前に「ちょっと読もう」と思って始めたら、気づいたら夜中の1時。自営業だから朝寝坊できるのが救いです(笑)。 困難に立ち向かうキャラクターたちの姿勢に、こちらも元気をもらえるような気がします。人生経験が長くなると、こういう作品から勇気をもらうことって大事だなって改めて感じました。新装版で復活したのは本当に嬉しい。これからシリーズ続けて読みたいです。
2026年03月27日
全4巻を通してついに完結したマザー・グース、最終巻まで楽しみました。若い頃は子どもの寝かしつけで読んだことがありますが、改めて大人になって読むと、また違った味わいがありますね。 この訳者の軽妙絶妙という表現、まさにその通り。ナンセンスで奇怪奇想天外な内容なのに、どこか温かみがあって、ついにっこり笑ってしまう。自営業で毎日気ぜわしく過ごしていても、こういう気軽に楽しめる一編一編が、ちょうど良い息抜きになります。 特に嬉しいのが、巻末に楽譜がついていることです。昔の歌も思い出しながら、孫たちに歌って聞かせるのも良さそう。全4巻の総索引もあるので、全体を見直すのに便利ですね。 イギリスの文化的な財産と言われるだけあって、奥深さがありながらも気軽に読める。文庫本というのもちょうど良いサイズで、電車の中でもポケットに入れて持ち歩ける。人生経験が増えてからこそ味わえる、優しくて楽しい本だと思います。
2026年03月27日
下巻を読み終わりました。上巻の続きということで、西之丸での事件がどう決着するのか、弥九郎たちの活躍をのんびり追いかけていました。 正直なところ、可もなく不可もないというのが素直な感想ですね。忍者たちの暗闘というテーマ自体は興味深いし、江戸の大奥という舞台設定も面白い。ただ、事件の筋立てにしても登場人物たちの動きにしても、どこか予定調和な感じがしてしまって。驚きや意外性に欠けるというか、先が読めてしまう部分が多かったんです。 キャラクターたちも悪くはないんですが、もう少し深掘りされていたら良かったなと思います。特に吉乃の嫁入りに関わる部分は、もっと感情的な厚みがあってもよかったのではないでしょうか。 気軽に読む分にはいい本ですし、文庫本の形も読みやすくていい。でも、この作者の本だからこそ期待してしまったぶん、少し物足りなさが残りました。お疲れさまという感じで読み終えた次第です。
2026年03月11日
最近は気軽に読める文庫本が増えていて、この作品もそのひとつです。江戸時代の深川を舞台にした人情時代小説ですが、口が利けない筆耕師が文字を通じて人々の想いに寄り添うというコンセプトが素晴らしい。 物語の構成が巧妙で、各章で異なるお客さんの悩みや願いが描かれるんですが、どれも読んでいて心が温かくなります。迷子の子どもを探す親御さんの切実な思い、遺された言葉の重さ…そういった人間の本質的なドラマが、さらりと書かれているのが良いですね。 主人公の数馬が口が利けないというハンディキャップを持ちながらも、筆を通じて人々と繋がっていく様子は、自営業をやってきた身としても勇気づけられました。姪の春佳との関係性も微笑ましい。 文体も読みやすく、自営業で忙しい日々の合間に少しずつ読んでも無理がありません。江戸の町並みが目に浮かぶような描写も秀逸です。時代小説初心者にもお勧めできる一冊だと思いますよ。
2026年03月10日
宝島社の話題作ということで手に取ってみました。学園サスペンスもの、どんでん返しが売りらしいですね。 読んでみた感想は、まあ悪くないけど特別に引き込まれたわけでもない、という感じです。教師の如月が次々と襲いかかる不穏な事件に対処していく流れは確かに気になります。犯人は誰か、という謎かけもそれなりに機能しているし、張り紙だの実家への嫌がらせだの、じわじわと緊張感を高めていく手法は上手だと思います。 ですが、最後の真犯人が明かされた時、正直なところ「ああ、そうか」という反応で、心が大きく揺さぶられるほどの驚きはありませんでした。もっと深い心理描写があるとか、人物関係がより複雑に絡み合うとか、そういった奥行きが欲しかった。サスペンスとしては機能しているけど、印象に残るほどの傑作かといえば、そこまでではないかな。 文庫本だし気軽に読むにはちょうどいい。でも改めて誰かに勧めるかといえば、微妙ですね。
2026年03月07日
戦国時代の合戦を描いた歴史小説ということで、手に取ってみました。豊臣秀吉の成り上がりを元浅井氏の視点から追う設定は面白いですね。与一郎という主人公のキャラクターも立っていて、秀吉や黒田官兵衛といった実在の武将たちとの関わり方が興味深い。 ただ、正直なところ、この巻は少し地味に感じてしまいました。上月城の合戦という歴史的には重要な事件を扱っているはずなのに、どうも盛り上がりに欠ける。与一郎が秀吉と何か取引をするという伏線も気になりますが、そこまでドラマティックには感じられませんでした。 文庫本としては読みやすいし、文章も悪くないんですけれど、シリーズの七巻目ということもあって、長く続く物語の一コマに過ぎないという感じがぬぐえません。シリーズファンなら楽しめるのかもしれませんが、単独で読むと「まあこんなもんか」という印象になってしまいますね。気軽に読むにはちょうどいい作品です。
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