虹の谷の五月(下)

虹の谷の五月(下)

船戸与一

出版社:集英社 出版年月日:2003/05/25

集英社 | 2003/05/25

4.00
本棚登録:5人

みんなの感想

感想

このたび、下巻をようやく読み終わりました。実は上巻を読んだときから、この続きが気になって仕方がありませんでしたので、やはり期待に違わぬ感動でした。 セブ島を舞台にした少年トシオの成長の物語ですが、第三世界の抱える複雑さと、そこで生きる人々の葛藤が、これほどまで深く描かれているとは思いませんでした。決して分かりやすい話ではありませんが、だからこそ、読み進めるたびに考えさせられることが多くあります。戦闘や政治的な背景も素人の私には難しい部分がありましたが、少年の視点を通じて世界を見つめ直す経験ができました。 作者が、あの時代、あの地域の人間関係や感情をここまで丁寧に紡いでくれたことに、心から感謝しています。人生の後半戦に入った今だからこそ、別れや喪失、そして人間の強さについて、より深く理解できたのかもしれません。直木賞受賞作という評判も納得のいく傑作です。何度も涙を流しながら読みました。

感想

直木賞受賞作ということで期待して読み始めたんですが、正直なところ「あ、そっか」くらいの感じで終わってしまいました。下巻ということもあって、上巻との繋がりがあるのかもしれませんが、この一冊だけで評価するとやや消化不良感が残ります。 セブ島を舞台にした冒険小説というコンセプトは面白いし、トシオという少年キャラクターの成長過程を描いているのも悪くない。ただ、ページを進めていく中で「あ、こういう展開か」という予想がつきやすくて、驚きや新鮮さに欠ける部分がありました。 とはいえ、少年が大人へと変わっていく過程や、複雑な人間関係の中での葛藤は丁寧に書かれていたと思います。読みづらくはないし、エンタメ性もそこそこある。大学院の研究で疲れた時に、ぼんやり読める本として考えるなら、それなりに価値はあるかな、という印象です。特に強く推したいわけではありませんが、嫌だったわけでもない。そんな一冊でした。

感想

直木賞受賞作ということで手に取ってみたんだが、これは本当に素晴らしい。フィリピンのセブ島を舞台にした冒険小説とのことで、最初は気軽に読み始めたのだが、一気に引き込まれてしまった。 14歳の少年トシオが、祖父と共に闘鶏を育てながら過ごす日々。その平穏な生活が、やがて政治的な陰謀と暴力の渦に呑み込まれていく。少年が経験する怒り、喜び、別れ、そして成長。こうした普遍的なテーマが、異国の風景と文化的背景とともに描かれることで、一層深い感動を呼び起こす。 下巻に入って物語の緊張感は最高潮に達する。複雑に絡み合う人間関係、避けられない運命との衝突。作者の筆致は冴えていて、場面場面が鮮烈に浮かび上がる。自営業で人生経験をそこそこ積んだ身としても、この少年の心の揺れ動きはよく理解できた。 気軽に読むつもりが、深く考えさせられる傑作だった。文庫本だからどこへでも持ち運べるのもいい。同じ著者の作品も読んでみたくなった。

感想

下巻を読了しました。正直なところ、期待値と実際のズレを感じずにはいられませんでした。 確認に手間をかけるタイプなので、この作品についても複数のレビューを参考にしてから購入したのですが、直木賞受賞作というだけで過度な期待を持ってしまったのかもしれません。セブ島を舞台にした少年の成長譚として、政治的な背景やゲリラとの関わりを通じたドラマティックな展開は興味深かったです。ただ、上巻から続く物語全体を通して、やや散漫な印象は否めません。 少年が男へと脱皮していくプロセスは描かれていますが、その過程での心理描写にもう少し深掘りがあれば、より心に響く作品になったのではないかと思います。冒険小説としての娯楽性と文学性のバランスが、個人的には少し緩い気がしました。 フリーランスという立場で忙しい日々を過ごしているので、限られた読書時間の中で選ぶとなると、申し訳ないですが優先順位は高くないかもしれません。ただし、フィリピンの社会情勢や三世界文学に興味がある方には価値のある一冊だと思います。

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