雄一の本棚
感想

本屋大賞受賞作ということで、慎重に選ぶ私も手に取ってみました。正解でした。 弟を失った薫子が、家事代行サービス「カフネ」を通じて少しずつ前に進んでいく過程が丁寧に描かれています。料理を作る、部屋を整える、そうした日常の営みがどれほど大切なものであるか。この作品はそれを改めて気づかせてくれます。 特に印象的だったのは、他者のために何かをすることが、結果として自分自身をも癒していくという視点です。54年生きていると、人生にはどうしようもない喪失があることを実感しています。その中で、地道に誰かのために手を動かすことの意味。そこに希望を見出す主人公たちの姿勢に、静かな力を感じました。 物語の進行とともに明かされる秘密も効果的で、人間関係の複雑さと向き合う登場人物たちの勇気が伝わってきます。決して派手ではありませんが、読み終わった後に心に残る温かさがある。大賞に選ばれた理由が納得できます。

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