星を編む

星を編む

凪良 ゆう

出版社:講談社 出版年月日:2026/07/15

講談社 | 2026/07/15

3.88
本棚登録:13人

みんなの感想

感想

前作『汝、星のごとく』を読んで心に残った余韻が、この続編でさらに深まりました。当初は、完結した物語に続編が必要なのか疑問を抱いていたのですが、読み進めるうちにその考えが変わりました。 本作は前作では語られなかった三つの物語を通じて、登場人物たちの人生のその先を丹寧に描いています。特に「春に翔ぶ」で北原の過去が明かされる場面では、ぐっと心を掴まれました。彼がどのような想いを抱きながら生きてきたのか、その重みがよく伝わってきます。また「星を編む」での編集者たちの奮闘は、人生において他者とどう関わり、互いに支え合うのかという普遍的なテーマについて考えさせられました。 著者の描く登場人物たちは、誰もが自分だけの星を求めて懸命に生きています。その姿勢に共感できる部分が多く、54歳という人生の時間を重ねた自分だからこそ感じられる味わいがあるように思います。もう一度前作と合わせて読み返してみたくなる、そんな作品です。

感想

『汝、星のごとく』が本屋大賞を受賞した時点で、この続編的作品は必ず読まなければと思っていました。同じ世界観の中で描かれなかった物語を集めた短編集という構成に、最初はかなり期待していたのですが……。 収録された三つの物語は、前作のキャラクターたちの背景や心情を補足する役割を果たしています。特に教師・北原の過去や編集者たちの葛藤を描く部分は、職場の人間関係で悩むことが多い私にも響くところがありました。ただし、前作を読んでいることが必須条件という感じが強く、単独作品としての完結性には欠ける印象を受けました。 また、想像していたほどの新しい発見や感動がなかったというのが正直なところです。前作で十分に物語として完成していたからこそ、これ以上の補足が必要だったのか、疑問が残ります。文庫化されたこのタイミングで手に取りましたが、あえて優先順位を上げてまで読む必要はなかったかな、という感覚です。 話題作だからこそ期待値が上がりすぎたのかもしれません。

感想

『汝、星のごとく』を読んだ時点で、この世界観にすっかり引き込まれていたので、続編的な位置付けのこの作品は必然的に手に取ることになった。結論から言うと、正解だった。 本編では語りきれなかった三つの物語が並行して進むという構成は、最初は複雑に感じるかもしれない。だが、読み進むうちに各エピソードが独立しつつも有機的に繋がっていく様子が見えてきて、そこが実に巧妙だ。エンジニアとして複数のシステムの相互作用を見るような感覚に近い。 印象的だったのは「星を編む」の章だ。編集者という職業が、才能を発掘し磨き上げていく過程が丁寧に描かれている。職業人として、こういった創作の現場での葛藤や喜びを知ることは、自分の仕事観を考え直すきっかけになる。 ただ、本編ありきの作品という性質上、前作未読だと入りにくい可能性は否めない。後付けのエピソードという側面から、やや物足りなさを感じるシーンもあった。それでも、星という象徴をめぐる「愛」の形を、多角的に掘り下げた試みは十分な価値がある。 エッセイ的な深さと小説の構成美を兼ね備えた一冊だ。

感想

『汝、星のごとく』の続編ということで期待して読んだんですが、正直なところ少し物足りなさを感じました。本編で十分に描かれた世界観を、さらに掘り下げるはずの外伝という位置付けなのに、どれもこれも表面的というか…キャラクターの深掘りというより、ただ番外編を用意した感じがしちゃって。 特に「星を編む」の編集者たちの話は、本編を読んでいない人には意味不明だろうなって思いました。前作ありきのスピンオフ的な作品だからしょうがないのかもしれませんが、それなら独立した物語としてもう少し完成度を高めてほしかった。各編がちょっと短くて、もやもやしたまま終わってしまう感覚。 ただ、登場人物たちを別の角度から見られるのは悪くなかったです。愛情の形について、いろんなバリエーションが示されている点は素敵だと思います。でも全体的には「本編の補足」という枠を出きれていない印象で、単体として評価すると微妙かな…という感じです。本編が好きな人向けの作品ですね。

感想

『汝、星のごとく』をまだ読んでないまま手に取ってしまったんですが、これが大正解でした。本編で語りきれなかった3つのエピソードを通して、登場人物たちの「本当の想い」が丁寧に描かれているんです。 特に印象的だったのは「星を編む」の章。編集者たちが作家を支える過程が、こんなに美しく、こんなに泥臭いものだったとは。才能を磨くって、誰かの信頼と努力の積み重ねなんだなって改めて感じさせられました。 各エピソードが独立しながらも繋がっていく構成も秀逸。読み終わったあとに「ああ、この人たちの人生はここから先も続いていくんだ」って思わせてくれる余韻が素敵です。短編集というより、本当は1つの大きな物語を見ているような感覚。気軽に読める文庫本なのに、心に残る話ばかり。本編も絶対読みたくなりました。

感想

『汝、星のごとく』を読んだ時点で、この続編の存在は知っていましたが、本当に「続編」として機能するのか少し懐念していました。しかし、手に取ってみると、その心配は完全に払拭されました。 前作では描ききれなかった三つの物語が、それぞれ独立した輝きを放ちながらも、全体として一つの大きな構図を形作っています。特に「星を編む」の編集者たちの視点は新鮮でした。創作に携わる人間たちの葛藤と執念が、私たち会社員にも通じるものがあり、ぐっと引き込まれました。 重要なのは、本書が単なる外伝ではなく、前作の物語にさらなる深みと意味をもたらしているという点です。櫂と暁海の関係の先にあるもの、北原という人物の過去——それらが静かに、しかし確かに響いてきます。 文章の質感も相変わらず上質で、瀬戸内の風景や人物の心理描写に引き込まれます。会社帰りに読み進めると、いつもより頭がクリアになった気さえします。前作を読んでいることが大前提ですが、あの世界をもう一度深く味わいたい方には心からお薦めできます。

感想

『汝、星のごとく』を読んだ後、どうしてもこの続編が気になって手に取りました。前作では描ききれなかった三つの物語という触れ込みでしたが、本当にその通り。各話で異なる視点から「愛」というテーマに向き合う構成が素晴らしい。 特に「星を編む」の編集者たちの物語は、同じ教育の現場にいる身として共感することが多かった。才能を引き出すために奔走する姿勢、その過程での葛藤や喜び。職業は違えど、人を支える仕事の本質が丁寧に描かれているんです。 北原という教師の過去も興味深く、教え子との関係が複層的に描かれているところが面白い。表面的な人間関係だけでなく、その奥にある想いまで掬い上げようとする姿勢を感じます。 ただ全体的には『汝、星のごとく』ほどの爆発力はないかな、という印象は否めません。でも短編集として読むと、それぞれが完成度高く、前作とは違う味わいが楽しめます。朝の準備時間に少しずつ読む、そういう気軽な楽しみ方が似合う一冊だと思いました。

感想

第20回本屋大賞受賞作『汝、星のごとく』のスピンオフということで、期待半分の気持ちで手に取りました。率直に言うと、その期待を大きく上回る傑作でした。 本編では語り尽くされなかった三つの物語が、これほどまでに深い余韻を残すとは。特に「星を編む」の編集者たちの奮闘の姿には、自分自身の管理職経験と重なる部分が多々ありました。才能を引き出し、育成し、時には厳しく導く——その営みの尊さがしみじみと伝わってきます。 各エピソードが本編とじっくり結びついていく構成も見事。登場人物たちの人生が星のように輝き、時に交わり、時に遠く離れていく。その儚さと美しさのバランスが絶妙です。文庫本という手軽なフォーマットながら、読み終わった後の満足感は相当なもの。 話題作の続編としての役割を果たしつつ、完全に独立した物語としても成立しているところが素晴らしい。本編未読の方にもお薦めできますし、本編を愛読した方ならなおさら。現代日本文学を代表する一冊だと確信しています。

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