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ラバー・ソウル

ラバー・ソウル

井上 夢人 講談社 2014年6月14日

感想

本屋大賞の発掘部門で話題になっていたから手に取ってみた。この年になると、新しい本の情報も大切だからね。それにしても、このミステリーの仕掛けには参った。 ビートルズの評論家という偏った人生を送ってきた男が、一人の女性との出会いをきっかけにどう変わっていくのか。その過程が実に細密に描かれている。著者の企みといってもいい、計算し尽くされた物語構成に途中で気づくんだが、それでもなおラストまで引き込まれてしまう。不思議な力がある。 六十年商売やってきた身としては、人生の偶然の積み重ねが、やがて大きな転機をもたらすというテーマに深く頷きながら読んだ。そして何より、ビートルズの名曲たちが物語に深さを与えている。音楽と文学が見事に交わる瞬間というのは、この年齢だからこそ味わい深い。 ラストの言葉の旋律に、本当に身体が震えた。久しぶりに、読み終わった後に本を閉じて、しばらく動けなくなるような経験をした。これは再読の価値がある。間違いない一冊だ。

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