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感想

近頃の話題作ということで手に取ってみた。アガサ・クリスティの作品だが、これまで読んできた彼女の推理小説とは随分と毛色が異なっている。 物語は一人の女性が自らの人生、とりわけ夫婦関係や親子の絆に疑問を抱くまでの経緯を丁寧に追っていく。中東での出来事から始まる心理的な揺らぎが、どのように彼女の内面を変えていくのか。その描写は確かに繊細で、筆致も流麗だ。女性心理の複雑さをよく捉えている。 ただ、正直なところ、八十の身には少々もどかしさを感じる部分もある。愛情や人間関係についての問い自体は普遍的で興味深いのだが、物語全体としては淡々とした流れで、大きな起伏に欠ける印象を受けた。ロマンチック・サスペンスと銘打たれているが、緊迫感や意外性という面では物足りない。 まあ、いい作品ではあるのだが、特に心を揺さぶられるほどではなかった。話題作を追い続ける身としては、一度は読んでおく価値はあるだろう。ただし、手放しにお勧めするほどではない、というのが率直な感想だ。

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