時代小説の長期シリーズということで手に取ってみましたが、正直なところ期待値と現実のギャップに戸惑いました。 二十一弾目ということで、シリーズ内では相当進んだ展開なのだと思います。ですが新規読者の自分にとっては、登場人物の背景や関係性が咀嚼しきれず、アクションシーンの興奮度が減ってしまいました。鬼面の剣士が現れて十剣士が襲われるというシンプルな事件設定は悪くないんですが、そこに至るまでの説明が冗長に感じられて、テンポが悪い。 エンジニアの仕事で日々効率を考えているからかもしれませんが、もう少し無駄を削ぎ落とした構成だったら読みやすかったと思います。キャラクター同士の絡みや秘剣の秘密を明かす場面は確かに工夫されているのですが、全体的には盛り上がりに欠ける印象。 シリーズファンなら楽しめる一冊かもしれませんが、単体では入り込みにくいですね。気軽に時代冒険活劇を読みたい時には、別の作品を選んだ方が無難かもしれません。
最近登録された他の本の感想
2026年06月13日
火花から10年、又吉直樹がこんな作品を書いてくるとは。読み始めたらもう止められませんでした。 高校時代の友人との借金トラブルから人生が急転直下する——これだけ聞くと重い話に思えるんですが、そこが面白い。窮地に追い込まれていく主人公の岡田が、なぜか笑わせてくれるんですよ。人間のもろさと、そこからはみ出す何とも言えない逆転劇。仕事で論理的に考えることが多い身としては、こういう「理屈じゃない部分」で人生って動いてるんだなって改めて実感させられました。 道頓堀での再会シーンから物語が加速していく緊張感も最高です。貸した金を取り戻そうとする岡田の必死さと、その過程で見えてくる人間関係の複雑さ。「生きる」ってこういうやりきれなさとおかしさが混在してるんだなと。エッセイのような感覚で読める小説作品、本当に久しぶりに出会った気がします。気軽に手に取ったら予想以上に引き込まれました。
2026年06月11日
仕事帰りにドラマ『良いこと悪いこと』にハマってしまい、思わずシナリオブックを買ってしまいました。正解でした。 TV放映時に話題になった伏線の数々が、シナリオで改めて読むとまた違う味わいで浮かび上がってくるんですよね。画面では気づかなかった細かい描写や、セリフの言外の意味が文字で改めて見ると「あ、そういうことか」って納得できる。エンジニアの僕からすると、ドラマの設計図を見ているような感じで、けっこう面白いです。 何より脚本家とプロデューサーの対談が秀逸。なぜこのシーンをこう作ったのか、主題歌の選曲理由、ボツになったエンディング案など、制作サイドの思考が垣間見える。SNSで白熱した考察の答え合わせもできるので、あの議論は何だったんだ、という疑問もスッキリします。 ドラマを見た人なら絶対買って損なし。もう一度ドラマを見直したくなる、そういう一冊です。
2026年06月11日
有栖川有栖のファンなら買って損はないんじゃないかな、というのが率直な感想です。火村英生や江神二郎といった彼の作品に登場する探偵たちについて、作者自身がどう思っているのかを知れるロングインタビューは興味深い。書き下ろし短編も含まれているし、書斎紹介なんかは、執筆環境を知ることで作品がより深く読めるようになるかもしれません。 ただ、既に有栖川作品をたくさん読んでいる人間にとっては、対談や特集記事の再録が多いせいか、特に新鮮な驚きはありませんでした。本編の小説というより、著者論や評論が中心なので、もう一段階踏み込んだ創作秘話を期待していた自分としては、やや物足りなかった部分も。 エンジニアの仕事の息抜きに気軽に読む分には、ちょうどいい分量だし、好きな作家について知識を深められるという点では悪くない。ただ、これまで以上にハマるきっかけになるかというと、微妙なところですね。有栖川本人のファンには手に取る価値ありです。
2026年06月09日
仕事帰りにふらっと立ち寄った書店で、このタイトルに思わず笑ってしまいました。「魔女のオバタン」って何だ?という素朴な興味で手に取ったんですが、これが予想外に面白い。 登場するキャラクターたちが実にユニークで、特にオバタン本人のキャラクターの立て方が秀逸です。へたっぴなほうき乗りという設定だけで十分面白いのに、その理由が太りすぎだなんて、この素直でシンプルなコミカルさがたまりません。村の人たちがビクビクしている状況が目に浮かぶようで、読んでいて自然と笑顔になってしまいました。 エンジニアとして普段は論理的な思考をしているせいか、こういう緩やかでナンセンスなユーモアに触れるとすごくリフレッシュできます。難しく考えず、ただ登場人物たちの日常を見守るような感覚で読み進められるのが心地よい。子どもから大人まで楽しめる良質な児童文学だと思いますが、大人が読んでも十分に魅力的です。 疲れた夜や気分を変えたいときに、こういう本との出会いはありがたい。オバタンの活躍をもっと見たくなりました。
2026年06月08日
東野圭吾の「加賀恭一郎シリーズ」は以前から気になっていたんですが、このシリーズを通じて初めて手に取りました。正解だったと思います。 少女の遺体発見という重い題材から始まるのですが、単なるミステリーではなく、家族という最も身近な存在の複雑さを浮き彫りにしていく構成が秀逸。加賀刑事の「平凡な家族など、この世に一つもない」というセリフがすべてを表現しているような気がします。 ページをめくり進むにつれて、一見するとありふれた家族像が実は深い亀裂と秘密を抱えているという事実が明かされていく。その展開の巧みさ、そして登場人物たちの心理描写の繊細さに引き込まれました。 技術系の仕事をしていると論理的な解答を求めがちですが、この作品は人間関係のような「正解のない問題」について向き合うことの大切さを改めて考えさせてくれます。夜遅くまで一気読みしてしまうほどの傑作でした。
2026年06月07日
ボーダーズシリーズも5巻目。最初は軽い気持ちで読み始めたんですが、もうすっかり虜になってます。このシリーズの面白さって、警察小説としての重厚さと、キャラクターたちの人間関係のバランスが絶妙なんですよね。 今巻では結城キャップが10年追い続けた事件が大きく動く。警察組織内の犯罪というテーマが、単なる謎解きではなく、登場人物たちの信念や使命感とぶつかっていく様子がすごく良い。エンジニアとして仕事の合間に読んでるんですが、ロジカルに構成された物語設計に引き込まれます。 藤田の父の事故死という過去の謎が絡み合い、メンバーが一致団結して難事件に立ち向かうシーン。こういった場面って、仕事仲間との信頼関係を大事にしてる身としては本当に刺さります。ページをめくる手が止まりませんでした。 続きが気になる終わり方なので、もう次巻を楽しみに待ってます。気軽に読める警察小説をお探しなら、このシリーズ本当におすすめです。
2026年06月06日
ホテル経営という身近でありながら複雑なテーマを舞台にした作品。エンジニアとして仕事をしていると、組織の立て直しや意思決定の難しさについて考えることがあるんですが、この本はそういった課題が本当にリアルに描かれているなと感じました。 再生請負人の主人公が直面する問題って、システム開発現場で起こることと本質的には変わらないんですよ。既得権益との衝突、組織内の抵抗勢力、外部からの脅威...。ビジネス小説というジャンルだからこそ、そういった要素が緊迫感を持って描かれているのが面白い。 何より、コロナやインバウンド減少といった実際の社会情勢を背景にしているから、読みながら「あ、こういうことって実際あるんだろうな」とついつい納得してしまいます。気軽に読める小説のレベルを超えて、ビジネスパーソンとしての学びもある。仕事で疲れた日の夜も、登場人物の奮闘を応援する気持ちで一気読みしてしまいました。気軽に読める娯楽作としても、ビジネス書的な学びとしても、どちらでも楽しめる良い一冊だと思います。
2026年06月06日
1巻が面白かったので続きが気になって手に取ったんですが、2巻はちょっと期待を下回った感じですね。 魔法で廃墟の街を発展させるという基本的なコンセプトは相変わらず好きなんですが、キャラクターが増えすぎて焦点がぼやけてしまった印象。新しい配下や家庭教師が次々と登場するんですけど、彼らへの掘り下げが浅くて、いまいち感情移入できませんでした。エンジニアとして言うなら、機能追加は良いけどUI/UXがごちゃごちゃになってる感じ(笑)。 あと、話の進み方が単調になってきた気がします。リノベーション要素も1巻ほどの工夫を感じられず、「あ、またこのパターンか」という場面が増えてきました。キャラの可愛さだけで引っ張ってるような印象を受けてしまって。 気軽に楽しむのが好きな僕でも、ちょっと物足りなさを感じちゃいました。3巻があるなら、もう一度原点に戻ってほしいなというのが本音ですね。
2026年06月01日
戦国時代の武将たちを一人一篇で描くこの作品、想像以上に面白かった。史料のわずかな一文から掌編を紡ぎ出すというコンセプトが秀逸で、松永久秀や石田三成といった有名な武将たちの意外な一面が浮かび上がってくる。 エンジニアとして仕事をしていると、つい効率や論理を優先しがちなんだけど、この本を読んでいると歴史の隙間に隠された人間ドラマに惹き込まれる。特に印象的だったのは、秀吉に関するエピソード。あの権力者が見せたという人間らしい一面の描き方が実に上手い。 文庫本というお手軽なフォーマットも良くて、通勤時間や就寝前の読書に最適。一篇が短いから続きが気になって、気づくと一気読みしている自分がいた。近畿から九州まで、各地の武将が登場するのも良い仕組み。歴史好きなら間違いなく楽しめるし、そうでなくても充分引き込まれる掌編集だと思う。気軽に楽しみながらも、歴史への興味が自然と深まる。なかなか良い一冊です。
2026年06月01日
通勤電車での読み時間を有効活用したくて手に取った一冊。エッセイということもあり、短編感覚でサクサク読み進められるのが良かった。著者の独特な視点で日常の些細なことが大爆笑のネタに変わる様は、本当に見事というしかない。 小学生時代の思い出話からデビュー後の奇想天外な経験まで、幅広いエピソードが詰め込まれているんだけど、どれもが著者特有のユーモアで味付けされている。痔との格闘なんて普通は書きづらいテーマなのに、ここまで笑いに昇華させるセンスはなかなかのものだ。エンジニアの仕事をしていると、つい理屈的に物を考えてしまうから、こういう無邪気で突き抜けたユーモアに触れるのは心がリセットされる感じがする。 インド珍道中のくだりは特に秀逸で、異文化体験を通じた笑いはスケールが大きくて気持ちいい。巻末の映画監督との対談も興味深く、著者のキャラがより立体的に見えてくる。気軽に笑いたい時に手に取りたくなる、そんな一冊だ。
タイトル
読書状況
評価
感想
ネタバレを表示しますか?
この感想には物語の内容に関するネタバレが含まれている可能性があります。