映画化もされたということで、興味を持って手に取った作品です。高校演劇部の生徒たちが全国大会を目指す青春物語ということでしたので、どのような展開になるのか期待しながら読み進めました。 登場人物たちの関係性や演劇への向き合い方は丁寧に描かれていて、その点は良かったと思います。特に異なるバックグラウンドを持つ部員たちが切磋琢磨する過程は、読んでいて応援したくなる気持ちになりました。 ただ、全体的には予想の範囲内の展開が多かったように感じます。高校生たちの成長物語としては王道的で、新鮮さや予想外の転機というものが少なかったのが残念です。もう少し深掘りされた心理描写があれば、もっと引き込まれたかもしれません。 文庫本という読みやすい形式で、気軽に読める作品ではあります。青春小説を好まれる方でしたら楽しめるでしょう。ただ、この作品でなければならない、という強い魅力までは感じられませんでした。
最近登録された他の本の感想
2026年06月24日
話題作ということで期待して手に取ったのですが、正直なところ、私にはちょっと合わせ難い作品でした。 ミステリーとしての仕掛けは確かに凝っていますし、美術館での殺人事件から始まる物語の運び方も工夫されています。ただ、登場人物の動きが慌ただしすぎて、心がついていけないんです。次々と現れる暗号や謎解きが続く中で、人物たちの感情や背景がほとんど見えてこない。誰を応援したらいいのか、何を重視すればいいのか、読んでいて不確かなままなのです。 また、美術や宗教史に関する講釈が長めに挿入される部分も、我慢強い方の私でも「ここまで詳しく必要だろうか」と思ってしまいました。そうした知識がストーリーを理解する上で本当に必須なのか、疑問が残ります。 上巻という位置づけなので、これからの展開に期待する部分もありますが、今のところ、続きを急いで読もうという気になっていません。丁寧な物語運びが好きな読者には、向き不向きが分かれる作品だと思います。
2026年06月10日
話題になっていたこの本を、レビューをずいぶん読み比べてから購入しました。実在しない学園生活の辛さ、心が疲れた若い人たちへ向けた物語だろうと予想していたのですが、予想以上に深い内容で感動しました。 鏡をくぐった先の城というファンタジーの設定は、子どもにも大人にも共通する「逃げ場が欲しい」という心情をよく表現していますね。主人公こころをはじめとする七人の少女たちが、少しずつ心を開いていく過程がとても丁寧に描かれていて、読んでいて胸が詰まりました。 何より素晴らしいのは、最後に全てが繋がるときの構成です。仕掛けられた謎が明かされていく喜びと、その背景にある優しさに包まれます。生きづらさを感じている人、感じたことのある人なら、誰もが心に響く一冊だと思います。七十代になった今でも、こんなに心を揺さぶられる物語に出会えるとは。もっと早く読んでいればよかったと思うほどです。確かに一気読み必至ですね。
2026年06月09日
孫のすすめで初めて漫画にチャレンジしてみました。暴力的なシーンが多く、率直に申し上げて、この手の作品が本当に苦手です。 ストーリーそのものは理解できます。主人公がトキというお兄さんを救うために進んでいく、という筋立ては分かりやすい。ただ、次々と敵が現れて、殴り合う場面ばかり。読んでいて気が滅入ってしまいました。 これまで小説やエッセイで物語に浸ってきたので、絵が入ることで物語の魅力を損なわれている気がしてなりません。想像力の余地がないというか、細部まで見せられてしまう。特に男性キャラクターたちが、皆一様に筋肉隆々で怖い顔をしているのも、私の好みではありません。 ただ、多くの人に支持されている作品のようですから、これは純粋に私の好みの問題でしょう。若い頃からこういう漫画を読まれていた方なら、きっと楽しめるのだと思います。無理に続けるより、好きな小説に戻ろうと決めました。
2026年06月09日
最初、このタイトルを見たときは正直ピンときませんでした。でも、書籍の説明を何度か読み返してみると、「捨てられないモノ」というテーマがしっくりきて、思わず手に取ってしまいました。 開いてみると、伊坂幸太郎さんや吉本ばななさんなど、錚々たる作家さんたちが揃っていて驚きました。それぞれの視点から「モノとの関係」を描いた短編ばかり。着古した服、懐かしい文房具、子どもの頃のグッズ……どれもが自分の人生と重なるようなお話ばかりです。 特に心がとまるのは、若い頃の思い出や人とのつながりが、モノを通じてほんわかと蘇る描き方。読み終わると、自分の身の回りにある「何気なく置いてあるモノ」が、実は大切な記憶の入れ物だったんだな、と改めて気づかされます。 短編だから無理なく読め、文庫本なので気軽に持ち歩けるのも良いですね。ときに寂しさも感じますが、全体としては温かみのある一冊です。もう一度読み返したくなりました。
2026年06月08日
ボルヘスや澁澤龍彦といった大家たちに影響を与えた作家の短編集という触れ込みに惹かれて、慎重に選んで手に取ってみました。 全22編の短編が収められた本作ですが、正直なところ、すべてが私の心に響いたわけではありません。象徴主義的な表現は確かに独特で、凝った構成の作品も多いのですが、読んでいて「もう一度読みたい」と思わせるほどの強い印象を受けたものは限定的でした。 むしろ、何度も読み返してしまう短編と、一度読んで終わってしまう短編の差が大きいように感じられます。年を重ねた今、小説は物語の面白さだけでなく、心に響く何かが欲しくなるのでしょう。複雑な象徴表現よりも、人間の普遍的な感情に直結する言葉の力を求めているのかもしれません。 新訳と既訳が混在しているのも、作品によっての読みやすさに影響しているように思います。古典作品ゆえに味わい深い面もありますが、私のような齢の読者には、もう少し親しみやすい翻訳があれば、より楽しめたのではないでしょうか。
2026年06月07日
書店で見かけて、タイトルだけで何度も立ち止まりました。シンプルながらも心に引っかかるものがあって、思い切って手に取ることにしたんです。 読み始めてみると、二十歳という若い年代で両親を失い、人生の選択肢を失った主人公の話とのこと。そういった重い背景があるのに、物語全体には優しさが満ちているように感じました。コロッケを譲るという日常的な小さな行為が、人との繋がりや生きる道を開いていく様子が丁寧に描かれていて、とても素敵だなと思いました。 年を重ねた身からすると、人生というのは予想もしない出来事の連続なのだということをあらためて感じさせられます。この本は、そうした予測不能な人生の中でも、人と人の温かい関わりが如何に大切かを静かに教えてくれる作品だと感じています。 ただ、内容がやや抽象的なところもあり、すべての読者が同じように受け取るとは限らないかもしれません。それでも、心優しい読者なら必ず何かを感じ取れる本だと思いますので、気になる方には是非おすすめしたいです。
2026年06月01日
孫の影響でアニメを一緒に観るようになったのですが、なぜだか知らず心に残る音楽があるんです。その正体が何かを知りたくて、この本を手に取りました。 劇伴音楽がどのように作られ、どんな役割を果たしているのかが丁寧に説明されています。ゴジラやセーラームーンなど、わたしも知っている作品の具体例が挙がっているので、とても分かりやすい。映像と音楽の関係性がこんなに工夫されているなんて、今まで気づいていませんでした。 新書ということで手軽に読める点も気に入っています。難しい音楽理論もできるだけ平易に説明されており、音楽の専門知識がなくても十分理解できました。これからドラマを観るときは、バックグラウンドで流れている音楽にも注意を向けてみようと思います。もう一度観直すと、また違った楽しみ方ができるかもしれません。音と映像の関係について学べた、なかなか良い一冊です。
2026年06月01日
図書館で見かけて、児童向けというのに少し気になって借りてみました。忍者という題材でありながら、ひらがなが多く使われているので、対象年齢は低めなのかもしれません。 主人公のなん者ひなた丸が、さくら姫の護衛に挑戦するというお話なのですが、正直なところ、話の展開は予想の範囲内というか、新鮮味に欠けるなあという印象を持ちました。敵のにん者犬丸との対決もありますが、緊迫感というより、子どもたちを楽しませるための軽さが前面に出ている感じです。 絵もあるのでしょうが、文章だけで読むと、キャラクターの魅力がもう一つ伝わってこないのが残念です。元気いっぱいと説明されていても、そのエネルギーが私にはあまり響いてきませんでした。 子どもさんがいらっしゃるご家庭なら、一緒に楽しめるかもしれません。ただ、大人が読む分には、可もなく不可もないといったところでしょうか。古い本なので入手も難しいかもしれませんね。
2026年06月01日
新聞記者・木部美智子シリーズの最新作ということで、期待して手に取ってみました。これまでのシリーズでも彼女の活躍を興味深く読んできたので、今回も大いに楽しみにしていたのです。 本作は、一見すると無関係に思える犯罪事件が、実は繋がっていたという構成で、その謎解きのプロセスが見事です。木部記者が丁寧に調べていく過程で、事件の背景にあるいじめという根深いテーマに辿り着いていく流れは、説得力があり、読み進めるうちにぐいぐい引き込まれました。 ただ、犯人の動機の複雑さについては、少しモヤモヤが残ることも正直なところです。いじめに関与していない人物までもが狙われる理由付けが、完全には腑に落ちきっていないというか。ですが、それが現実の人間関係の複雑さを表現しているのだと考えると、逆にリアリティがあるのかもしれません。 中高年以降の読者にとって、人間関係と復讐の問題を考えさせられる作品として、十分な価値があると思います。シリーズのファンなら間違いなく読んで損のない一冊でしょう。
2026年05月06日
わらべうたという題で、どのような内容かと興味を持って手に取りました。昔、孫たちと遊びながら歌った数え歌やわらべうたのことが書かれているのだろうと期待していました。 ページを開いてみると、確かに懐かしい歌詞がいくつか載っていて、あの日の子どもたちの無邪気な笑顔がよみがえってきました。「けんかならこい」や「おならうた」など、子どもが好きそうな素朴な歌ばかり。詩人による創作というのも興味深い点です。 ただ、読み進めていくうちに、少し物足りないような気がしてきました。一つ一つのわらべうたについての説明や背景にある文化的な意味など、もっと詳しく知りたかったという思いが残ります。文庫本という限られた紙面なので仕方ないのかもしれませんが、郷愁に浸るだけでなく、より深く学べたらと感じました。 古い世代の私たちにとって懐かしいものを集めた本ではありますが、特に目新しい発見があるわけではなく、昔を思い出す程度の読書体験になってしまった感じです。
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