雄一の本棚
感想

星座の話と聞くと、つい西洋のギリシャ神話を思い浮かべてしまうのが常だったが、この本を読んでハッと目覚めた思いがした。日本の各地で、農民や漁師たちが独自に星に名前をつけ、それぞれの暮らしと結びつけていたなんて。麦をまく時期を知らせる「麦熟れ星」、魚釣りの季節を教えてくれる「魚釣り星」——こうした呼び名の一つひとつに、先人たちの知恵と工夫が詰まっている。 野尻抱影という人物の執念も驚くべきものだ。膨大な文献をひもとき、全国の報告者の協力を得ながら、生涯をかけてこの辞典をまとめ上げた。その丹念な仕事ぶりが随所に感じられて、読んでいて本当に清々しい気持ちになれた。 自営業の身として、先人たちが自然と向き合い、季節を読み取る力を磨いていた時代のことが身近に感じられた。星という存在を通じて、日本人が積み重ねてきた歴史と文化の層の厚さを改めて認識させてくれる。気軽に拾い読みできながらも、深い学びが得られる良い一冊だ。

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