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ナオミとカナコ

ナオミとカナコ

奥田英朗 幻冬舎 2017年4月11日

感想

話題になっていたので手に取ったが、ここまで引き込まれるとは思わなかった。職場の不満と友人への共感という、多くの人が経験しうる感情から始まる物語が、やがて予想外の方向へ転がっていく緊張感は見事だ。 二人の女性が日常の鬱屈から非日常の計画へと足を踏み入れていく過程が、丁寧に積み重ねられている。特に心理描写が秀逸で、最初は荒唐無稽に思えた計画が、次第に現実味を帯びていく感覚を見事に表現している。DV被害という重いテーマながら、サスペンスとしての娯楽性も損なわないバランス感覚が素晴らしい。 ラストの仕掛けには正直驚かされた。終盤の展開の鮮やかさと、物語全体を貫く深い問題提起の両立。この手の作品は数多く読んできたが、ここまで綿密に構成された傑作は珍しい。会社帰りの疲れた頭でも、徐々に物語の虜になっていった。話題の本がすべて面白いわけではないが、これは確かに納得の評判だ。