文庫 少年の日の思い出

文庫 少年の日の思い出

ヘルマン・ヘッセ / 岡田朝雄

出版社:草思社 出版年月日:2016/02/02

草思社 | 2016/02/02

3.75
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

ヘッセの初期短編集とあって、文学的な深さと青春特有の心理描写に引き込まれた。特に表題作「少年の日の思い出」は、蝶の標本という一見地味な題材を通じて、少年の内面的な葛藤や喪失感をこんなに繊細に描き出せるのかと感心させられる。 訳者が昆虫学的知見を活かして従来の誤訳を正したという点も興味深い。原著の意図がより正確に日本語で表現されていることで、作品の世界観がより鮮明に浮かび上がってくる。この丁寧な翻訳作業があってこそ、ヘッセが本当に伝えたかった青春の切実さが現代の読者にも届くのだろう。 会社員生活も長くなると、青年期の感覚は遠い記憶になってしまうが、この作品を読むと当時の繊細な心の揺らぎが鮮やかに蘇る。人生経験を重ねた今だからこそ、より一層深く味わえる短編集だと感じた。同時代の『車輪の下』とともに読むと、ヘッセの創作の広がりも見えてきて興味深い。

感想

ヘッセの初期短編集ということで、慎重に選びましたが、買ってよかったと思います。 表題作の「少年の日の思い出」は、思いがけない形で青年期の後悔を描いた作品。蝶の標本を巡る話なのですが、子どもの頃の無邪気さと残酷さが同時に存在する瞬間を、こんなに繊細に書けるものかと感心しました。訳者が昆虫好きということで、これまでの誤訳を詳しく正してくれているのも、細部を丁寧に読む楽しみが増します。 『車輪の下』と同時代の作品とのことですが、そちらよりもむしろ心理描写が深く、大人になった今だからこそ共感できる部分が多いです。パート勤務で時間に余裕ができた今の時期に読むと、かつての自分の青春時代を思い出させられます。 どの短編も短いながら完成度が高く、一気読みするのではなく、何日かに分けてゆっくり味わうように読むのがいいと思います。古い作品ですが、人間の心の機微は変わらないのだな、と改めて感じさせてくれました。

感想

ヘッセの初期短編集ということで、話題になってたから手に取ってみました。『車輪の下』より前の作品群なんですね。 正直、期待値が高かったからか、読んでみると「あ、そっか」くらいの感じになっちゃいました。青春の心理描写が細かいのは確かなんですが、現代を生きる自分たちにはちょっと距離がある感覚というか。100年以上前の話だからしょうがないんですけど。 表題作の蝶の話は、訳者が誤訳を直したというのが面白い企画だなと思いました。そういう背景知識があると作品の見え方も変わるんだろうなって。でも、その部分を知らずに読むと、細部の描写の妙さをどこまで味わえるか疑問かな。 古典として読む価値はあると思うし、ヘッセに興味ある人には良いと思います。ただ、特別に心を揺さぶられる体験にはならなかった。文学の基礎を学ぶテキストとしてはいいかもしれません。

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