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夜空に浮かぶ欠けた月たち(1)

夜空に浮かぶ欠けた月たち(1)

窪 美澄 KADOKAWA 2026年2月25日

感想

メンタルクリニックを舞台にした連作短編という珍しい設定に惹かれて手に取りました。「椎木メンタルクリニック」に訪れる患者たちの人生が短編ごとに描かれていくわけですが、正直なところ、構成の面白さに比べて内容はやや物足りなく感じました。 それぞれのエピソードは丁寧に書かれており、登場人物たちの抱える不安や違和感が静かに伝わってくる。特に現代的な「生きづらさ」のテーマは共感しやすく、41歳の身としても身につまされる部分があります。ただ、短編という形式の制約か、各話の深掘りが物足りなく、キャラクターと読者の距離を詰めきれないまま次の話へ移ってしまう印象を受けました。 装画や章立てに工夫が見られ、出版社の工夫は感じられるのですが、物語そのものの余韻や問い掛けの力強さに欠けるんです。話題作として確認しておく価値はありますが、最近読んだ他のエッセイ的小説と比べると、やや及び腰な仕上がりだと感じました。続編があるなら、そちらに期待したいところです。

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