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利休にたずねよ

利休にたずねよ

山本兼一 PHP研究所 2010年10月14日

感想

直木賞受賞作ということで手に取ったのですが、これは期待以上の傑作でした。千利休という歴史上の人物を、こんなに深く、そして新しい視点で描き出せるものなのかと改めて認識させられました。 緑釉の香合という謎のアイテムを軸に、利休の人生が徐々に紐解かれていく構成が秀逸です。権力者・秀吉との関係性を単なる主従関係ではなく、美学をめぐる緊迫した対峙として描いている点が特に良かった。利休の「侘び」の美学がいかに磨き上げられたのか、その過程で若き日の恋がどう作用したのかという問い自体が、この小説全体を貫く核になっています。 41歳という年代になると、仕事や人生経験を通じて「本当に大切なものは何か」という問いが身に染みるようになるのですが、この作品はそうした思考と見事に共鳴しました。利休が時の権力にも揺るがない「鋭さ」を保ち続けた理由が、緩やかに明かされていく読み心地も快適です。文庫本で手軽に読める点も、忙しい会社員にはありがたい。ぜひ多くの人に読んでほしい一冊です。

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