暁星

暁星

湊かなえ

出版社:双葉社 出版年月日:2025/11/27

双葉社 | 2025/11/27

3.80
本棚登録:7人

みんなの感想

感想

最近、話題の新刊は必ずチェックするようにしているのだが、この『暁星』は期待以上の傑作だった。 政治家にして文壇の大物作家が刺殺される。その事件の加害者本人が週刊誌に手記を発表する。そして、その事件を題材に別の作家が小説を書く——これだけで興味をそそられる設定だが、著者はこの複雑な構造を見事に使いこなしている。 ノンフィクションとフィクションが交錯する中で、事件の真実、登場人物たちの内面、そして社会的な問題まで層状に浮かび上がってくる。事件の単純な是非を問うのではなく、人間の動機や葛藤、権力と文化の関係性を深く掘り下げる手法は、さすが著者だと思わせる。 装丁も落ち着いていて、職場の休憩時間に読み進めるのに丁度いい。50代の自分だからこそ感じられる、政治家としてのプレッシャーや作家としての責任感といった微妙な心理描写も丁寧で、共感できる部分が多かった。一気読みしてしまいました。

感想

話題作という触れ込みで手に取った一冊です。実際の事件をモチーフにしながら、ノンフィクションとフィクションを織り交ぜるという構成は、確かに興味深い試みだと思います。 ただ読み進めてみると、その野心的な設定の割に、どちらの視点も中途半端な印象を拭えませんでした。事件そのものの謎解きとしては物足りなく、かといって人間ドラマとして深掘りされているわけでもない。二つの物語が融合する瞬間に何か大きな発見があるのかと期待していただけに、その辺りが今一つ活かしきれていない感じがします。 登場人物たちの内面描写は丁寧なのですが、複数の語り手による構成のせいか、全体像が曖昧に見えてしまう。キャリア層の自分としても、権力と表現の自由という重いテーマを扱っているわけですから、もっと鮮烈な問題提起があってもいいのではないかと。 話題作をチェックする身としては一度は読んでおきたい作品ではありますが、正直なところ「もう一度読み返したい」という強い衝動には駆られませんでした。

感想

このところ図書館で評判の作品を見かけたので、慎重に他のレビューも参考にしてから借りてみました。 ノンフィクションとフィクションが交錯するという構成は、確かに興味深い試みだと思います。実在事件をめぐって、複数の視点から物語が紡ぎ出されていく手法は工夫されているのでしょう。有名な作家さんの作品ですから、文章そのものは当然丁寧で読みやすい。 ただ、正直なところ、この構成がどこまで読者の心を動かすのかは疑問が残ります。二つの物語を往復しながら読むことになるのですが、どうしても焦点がぼやけた感じがしてしまう。もっと明確に一つの真実に迫るのか、それとも曖昧さを意図的に残すのか、その判断が曖昧に思えました。 テーマとしては深刻で重要な問題を扱っているのに、読み終わった後の余韻がいまひとつ。当番のボランティアの合間に読む本としては、心に引っかかる部分が足りなかった、というのが素直な感想です。決して悪い本ではありませんが、特に心に残ったかというと、そうでもなく、という印象に落ち着いてしまいます。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ