莉子の本棚
感想

このところ図書館で評判の作品を見かけたので、慎重に他のレビューも参考にしてから借りてみました。 ノンフィクションとフィクションが交錯するという構成は、確かに興味深い試みだと思います。実在事件をめぐって、複数の視点から物語が紡ぎ出されていく手法は工夫されているのでしょう。有名な作家さんの作品ですから、文章そのものは当然丁寧で読みやすい。 ただ、正直なところ、この構成がどこまで読者の心を動かすのかは疑問が残ります。二つの物語を往復しながら読むことになるのですが、どうしても焦点がぼやけた感じがしてしまう。もっと明確に一つの真実に迫るのか、それとも曖昧さを意図的に残すのか、その判断が曖昧に思えました。 テーマとしては深刻で重要な問題を扱っているのに、読み終わった後の余韻がいまひとつ。当番のボランティアの合間に読む本としては、心に引っかかる部分が足りなかった、というのが素直な感想です。決して悪い本ではありませんが、特に心に残ったかというと、そうでもなく、という印象に落ち着いてしまいます。

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