新装版 教科書から消えた世界史

新装版 教科書から消えた世界史

土井昭

出版社:扶桑社 出版年月日:2026/03/02

扶桑社 | 2026/03/02

4.00
本棚登録:5人

みんなの感想

感想

ボランティアの仕事をしていると、様々な世代の方と接する機会があります。その中で、歴史観の違いや世界情勢についての問い方を受けることが増えました。そんな折、このような本があることを知り、興味を持って手に取りました。 本書は、学校の教科書では習わない視点から世界史を読み直す試みです。年を重ねて、自分たちが学んだ歴史にも、意図的に省かれた部分があったのだと気づかされることは、正直なところ複雑な感情を引き起こします。しかし、だからこそ読む価値があると感じました。 著者は、なぜ現在の紛争が続くのか、なぜ独裁体制が支持されるのかといった、今日のニュースの根底にある歴史的背景を丁寧に解説しています。筆者の論理は分かりやすく、慎重に裏付けされているようで、信頼感を持って読むことができました。 自分たちの世代が当たり前だと思っていたことを問い直す、そうした慎重さが、現代を理解するために必要なのだと改めて認識させられた一冊です。若い世代にぜひ読んでほしいと思います。

感想

教科書で習った世界史とは一体何だったのか。そう思わせる一冊である。 長年自営業で様々な業界の人間と関わってきた経験から、私は「公式な説明」と「現実」の乖離をよく目にしてきた。本書はその違和感を歴史という大きな舞台で論証してくれる。宗教対立、植民地化、戦争の正当化——これらの問題が教科書からいかに簡潔化・矮小化されてきたか、その構造が見事に解き明かされている。 特に興味深いのは、「誰が、どの立場で語るか」という視点の転換だ。勝者によって書き換えられた歴史観から自由になることの重要性が、現代の複雑な国際ニュースを理解する上でいかに必要か、強く実感させられた。著者の問題提起は根拠に基づきながらも、読者に考えさせる余地を残している。 本書は単なる歴史書ではなく、私たちが社会をどう認識するかという基本に関わる問題提起だ。自営業として社会と向き合う立場にある者として、こうした多角的な視点は極めて有用である。新装版として改めて世に出たことに納得できる質の高さ。

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