ナオミとカナコ

ナオミとカナコ

奥田英朗

出版社:幻冬舎 出版年月日:2017/04/11

幻冬舎 | 2017/04/11

5.00
本棚登録:2人

みんなの感想

感想

話題になっていたので手に取ったが、ここまで引き込まれるとは思わなかった。職場の不満と友人への共感という、多くの人が経験しうる感情から始まる物語が、やがて予想外の方向へ転がっていく緊張感は見事だ。 二人の女性が日常の鬱屈から非日常の計画へと足を踏み入れていく過程が、丁寧に積み重ねられている。特に心理描写が秀逸で、最初は荒唐無稽に思えた計画が、次第に現実味を帯びていく感覚を見事に表現している。DV被害という重いテーマながら、サスペンスとしての娯楽性も損なわないバランス感覚が素晴らしい。 ラストの仕掛けには正直驚かされた。終盤の展開の鮮やかさと、物語全体を貫く深い問題提起の両立。この手の作品は数多く読んできたが、ここまで綿密に構成された傑作は珍しい。会社帰りの疲れた頭でも、徐々に物語の虜になっていった。話題の本がすべて面白いわけではないが、これは確かに納得の評判だ。

感想

仕事で疲れた夜に手に取った一冊が、こんなに引き込まれるとは思いませんでした。職場の人間関係や理不尽さで心が塞いでいる時期だったからかもしれません。 このお話、一見するとダークなテーマなのに、読んでいて妙に感情移入してしまうんです。親友を傷つける人間への怒り、その怒りが二人の間でどう波動していくのか。日々の鬱屈した気分を抱えながら生きている主人公たちの心理描写が本当に細やかで、思わず「そうだよな…」と頷いてしまいます。 展開が緻密で、一度読み始めたら止められません。むしろ先が気になってページをめくる手が止まりませんでした。犯罪計画というシリアスな内容なのに、どこか現代的なユーモアも感じられるバランスの良さ。大人の女性だからこそ理解できる、複雑な感情や葛藤が満載です。 文庫本なので通勤電車での読書にもぴったりでした。気軽に読める本と思いきや、心に残る仕上がり。もう一度読み返したくなる傑作です。