みくの本棚
昨夜のカレー、明日のパン

昨夜のカレー、明日のパン

木皿 泉 河出書房新社 2013年4月1日

感想

新聞の書評欄で目に留まったこの本、買ってみて本当によかった。人気脚本家が書いた初めての小説ということで、どんな作品かと興味津々でしたが、期待以上でした。 若くして亡くなった息子さんのことを、彼の妻と父親の視点から静かに描いていく。タイトルの「昨夜のカレー、明日のパン」という言葉からも想像できるように、日常のちょっとした出来事の中に、心が温かくなるような何かが隠れているんです。 悲しい出来事なのに、読んでいて不思議と幸せな気持ちになれる。それはきっと、周りの人たちの優しさや、何気ない会話の中に込められた「言葉の力」だからなんでしょう。脚本家だからこそ書ける、会話の魅力がこんなにも活きているんだと感じました。 夫を失ったテツコさんの心の変化も、丁寧に、でも押しつけがましくなく描かれていて、同じ年代の女性として深く共感できました。人生の様々な段階にある読者が、それぞれ何かを感じ取れる、そういう素敵な一冊だと思います。

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