昨夜のカレー、明日のパン

昨夜のカレー、明日のパン

木皿 泉

出版社:河出書房新社 出版年月日:2013/04/01

河出書房新社 | 2013/04/01

4.67
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

新聞の書評欄で目に留まったこの本、買ってみて本当によかった。人気脚本家が書いた初めての小説ということで、どんな作品かと興味津々でしたが、期待以上でした。 若くして亡くなった息子さんのことを、彼の妻と父親の視点から静かに描いていく。タイトルの「昨夜のカレー、明日のパン」という言葉からも想像できるように、日常のちょっとした出来事の中に、心が温かくなるような何かが隠れているんです。 悲しい出来事なのに、読んでいて不思議と幸せな気持ちになれる。それはきっと、周りの人たちの優しさや、何気ない会話の中に込められた「言葉の力」だからなんでしょう。脚本家だからこそ書ける、会話の魅力がこんなにも活きているんだと感じました。 夫を失ったテツコさんの心の変化も、丁寧に、でも押しつけがましくなく描かれていて、同じ年代の女性として深く共感できました。人生の様々な段階にある読者が、それぞれ何かを感じ取れる、そういう素敵な一冊だと思います。

感想

人気脚本家の作品だからという理由で手に取ったのですが、これが大当たり。深い悲しみの話なのに、どうしてこんなに温かい気持ちになるんだろう。 夫を若くして亡くされた妻テツコと、彼女と一緒に暮らすことを選んだ父ギフ。二人が普通の日常の中で、少しずつ向き合っていく様子がエッセイのようにそっと綴られています。カレーとかパンとか、そういう何気ない食事の時間の中に、人生の大切なことが詰まってるんだなぁって感じました。 短編を連ねた形式なので、仕事で疲れた日も気軽に読み進められるのが良かったです。一編一編は短いけれど、言葉の選び方がすごく丁寧で、じんわりと心に残ります。脚本家さんならではの、無駄のない表現力だと思う。 喪失感や悲しみといった重いテーマを扱いながら、けっして暗くならない。むしろ人と人とのつながりって大事だな、今を大事にしなきゃなって前向きな気持ちになれました。読んでよかった一冊です。

感想

人気脚本家の初めての長編小説ということで、どんな作品か興味を持って手に取りました。死という重いテーマを扱いながらも、タイトルの通り「昨夜のカレー、明日のパン」といった何気ない日常の風景が物語全体を温かく包み込んでいるのが印象的です。 妻テツコと父ギフが、若くして亡くなった一樹との思い出の中でゆっくり歩んでいく様子が、とても丁寧に描かれています。脚本家ならではの「コトバの力」がここまで活きる作品は珍しい。会話や独白の中に、さらりと心を打つ表現が散りばめられていて、読む度に違う発見がありました。 悲しみと幸せが同時に存在する世界観は、この年代だからこそ深く響くのかもしれません。人生経験を重ねた今だからこそ、失うことの大切さや、残された時間の価値を感じることができたと思います。重くなりすぎず、でも真摯に向き合った素敵な作品。慎重に本選びをしてきた私としても、自信を持ってお勧めできます。

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