てつの本棚
ひだまりのストリート・ピアノ

ひだまりのストリート・ピアノ

河邉 徹 PHP研究所 2026年2月19日

感想

ショッピングビルの広場に置かれたピアノを通じて、様々な人生が交わっていく様子を描いた作品です。正直なところ、最初は「ちょっと甘い話かな」と思いながら読み始めたんですが、途中から引き込まれてしまいました。 教員をしていると、生徒たちの人間関係の複雑さや、親の期待と個人の希望のズレといった問題をよく目にします。この本に登場するキャラクターたちも、一見すると他愛のない悩みを抱えているように見えるけれど、その奥底には深い葛藤があるんですよね。そういった一人ひとりの思いがピアノという共通の場所で静かに共鳴していく過程が、非常に丁寧に描かれています。 特に良かったのは、登場人物たちの視点が次々と切り替わることで、同じピアノという存在が各自にとってどれだけ異なる意味を持つのかが浮き彫りになるところです。音楽の力とはこういうことなんだなと、改めて感じさせてくれました。気楽に読めるエッセイのような小説ですが、読み終わった後、心がほんのり温かくなる一冊です。

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