直人の本棚
君の膵臓をたべたい

君の膵臓をたべたい

住野よる 双葉社 2015年6月1日

感想

話題になっているこの作品、ようやく手に取る機会に恵まれた。正直なところ、こうした青春小説が自分の心をここまで揺さぶるとは予想していなかった。 物語は二人の高校生の関係を軸に、運命的な出会いから始まる。秘密の日記という仕掛けが絶妙で、読み進むにつれて登場人物たちの内面が鮮烈に浮かび上がってくる。著者のデビュー作とは思えぬほど成熟した筆致である。特に、死という避けられない現実に向き合いながらも、人生を肯定する姿勢が印象的だ。 中年になると、こうした作品を読む際、どうしても自分の人生と照らし合わせてしまう。失われた時間、手遅れになることへの恐怖、そして限られた日々をどう生きるか——重いテーマが扱われているのに、決して絶望的ではない独特の温かみがある。 ここ数年の流行本の中でも、これは単なるトレンドに留まらない作品だと感じた。広く読まれる理由が今ようやくわかる気がする。同世代の知人にも勧めたい一冊だ。

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