崩れる脳を抱きしめて

崩れる脳を抱きしめて

知念実希人

出版社:実業之日本社 出版年月日:2017/09/01

実業之日本社 | 2017/09/01

4.33
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

最近のベストセラー話題作だったので手にとってみたが、期待以上の面白さだった。医学部の実習という現実的な舞台から始まり、二人の登場人物の内面が丁寧に描かれていく。脳腫瘍という重いテーマながら、ただ暗いだけでなく、人間関係の繊細さが随所に光っている。 何より秀逸なのは物語の構造だ。一度読み終わった後に、細部を思い返すと全く違う意味合いが浮かび上がってくる。年を重ねた身としては、人生における「真実とは何か」という問いが強く心に残る。著者は希代のトリックメーカーとも言われるが、単なるトリックに終わらず、人間の心理や喪失感について深く考えさせられる仕上がりになっている。 横浜山手という舞台設定も素晴らしく、実在の場所を巡りながら謎を追う緊張感が続く。会社生活の中で感じる息苦しさや人間関係の複雑さを、この物語に投影しながら読むこともできた。恋愛ミステリーとして、また人文的な作品として、多角的に楽しめる傑作だと思う。同年代の読者にぜひ勧めたい一冊である。

感想

話題のミステリーということで、つい手に取ってしまいました。確かに設定は興味深く、医学的な背景と恋愛要素、そしてミステリーの三つが絡み合うというのは珍しい組み合わせです。 読み進めていくうちに、二人の心情描写には引き込まれました。特に外の世界に怯える女性と、過去に苛まれる研修医というそれぞれの孤立感が丁寧に描かれているなと感じます。ただ、中盤から後半にかけて、物語の展開が予想と異なる方向へ進んでいき、その衝撃の真実とやらに到達したときは、正直なところ「え、これ?」という印象を拭えませんでした。 恋愛ミステリーとしての完成度を考えると、もう一段階何かが足りないような気がして。トリックそのものは確かに仕掛けられているのですが、それが物語全体に与える余韻や深さという点で、期待値とのズレを感じてしまいました。 話題作だからこそ一度は読んでおきたいというお気持ちはわかります。ただし、このジャンルの傑作を既にご存知でしたら、比較対象として物足りなさを覚えるかもしれません。

感想

この本、本当に良かった!恋愛ミステリーということで、軽い気持ちで読み始めたんですけど、途中から一気読みしちゃいました。 主人公の碓氷とユカリという二人のキャラクターがね、すごく丁寧に描かれているんです。脳腫瘍を患いながらも懸命に生きようとするユカリの姿が切実で、つい感情移入してしまいました。一方、碓氷も過去のトラウマを抱えていて、二人が心を通わせていく過程が本当に素敵だったんですよ。 この作品のすごいところは、恋愛小説としての温かさとミステリーの面白さがちゃんと両立しているところ。読み進めるたびに「え、これどういうこと?」って思わせられて、最後に衝撃の真実が明かされるんです。正直、ラストは予想できませんでした。 横浜山手という舞台の描写も素敵で、その風景を思い浮かべながら読むのも楽しかったです。日常生活の中で少し時間を見つけて読む、そういう読書の醍醐味を思い出させてくれた一冊です。恋愛とミステリーの両方が好きな人には、本当にオススメできますよ。

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