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崩れる脳を抱きしめて

崩れる脳を抱きしめて

知念実希人 実業之日本社 2017年9月1日

感想

話題のミステリーということで、つい手に取ってしまいました。確かに設定は興味深く、医学的な背景と恋愛要素、そしてミステリーの三つが絡み合うというのは珍しい組み合わせです。 読み進めていくうちに、二人の心情描写には引き込まれました。特に外の世界に怯える女性と、過去に苛まれる研修医というそれぞれの孤立感が丁寧に描かれているなと感じます。ただ、中盤から後半にかけて、物語の展開が予想と異なる方向へ進んでいき、その衝撃の真実とやらに到達したときは、正直なところ「え、これ?」という印象を拭えませんでした。 恋愛ミステリーとしての完成度を考えると、もう一段階何かが足りないような気がして。トリックそのものは確かに仕掛けられているのですが、それが物語全体に与える余韻や深さという点で、期待値とのズレを感じてしまいました。 話題作だからこそ一度は読んでおきたいというお気持ちはわかります。ただし、このジャンルの傑作を既にご存知でしたら、比較対象として物足りなさを覚えるかもしれません。