わざわざ書くほどのことだ
双葉社 | 2025/11/19
みんなの感想
古生物学者の夫が雪に服を隠すとか、自宅を半焼させた祖母とか、登場人物のエピソードだけ聞くと相当ぶっ飛んでるなと思うんですが、読んでみるとそこまでの衝撃はありませんでした。悪い意味ではなく、むしろ日常のちょっとした違和感や家族の愛おしさをユーモアで包み込んだ感じというか。軽妙なタッチというのは本当で、サラッと読めます。 ただ人文書や思想書を読み慣れた身からすると、もう一段階深い思考への誘いがあれば良かったなという気がします。エッセイとしての完成度は高いんだけど、どうしても「面白い人たちの面白いエピソード集」に留まっているような。著者が何を伝えたかったのか、そこまで心に響いてくる何かが欲しかった。 でも、だからこそ気軽に読める本でもあります。家族や身近な人間関係について、もう一度見つめ直すきっかけになるかもしれません。素直に楽しむなら、評価はもっと高くなるはずです。
SNSで話題になっているのを見かけて、つい手に取ってしまいました。正解です! 古生物学者の夫が雪の中に服を隠すなんて、最初は「え、なんで?」と首をかしげるような行動ばかりなのですが、そこがこのエッセイの最高に面白いところ。著者の軽妙なタッチで描かれると、どうしようもなく愛おしい人間ドラマに変わるんです。 名前が「関根」という兎の存在感も素晴らしい。家族として自然に登場するのに、その独特さがきちんと伝わってくる書き方が秀逸です。祖母のエピソードも笑えるし、ちょっぴり切実で、人生経験の深さを感じさせます。 毎日家事をしながら、家族のあれこれに翻弄される生活の中で読むと、「あ、自分の周りもこんな愉快な人たちだ」って気づかされました。身近な日常にこんなに面白さが隠れていたんだと。話題になるだけの理由がある、本当に良い一冊です。
話題の著者だからということで手に取ってみたのだが、正直なところ期待と現実のギャップが大きかった。 奇抜な登場人物たちのエピソードを軽妙に綴るという触れ込みだったのだが、読んでいると、どうも筆の運び方が一本調子に感じられてしまう。古生物学者の夫だの、名前のついた兎だの、自宅を焼いてしまった祖母だの……個性的なキャラクターは揃っているのに、それぞれのエピソードの掘り下げが浅くて、つながりも見えてこない。 管理職生活が長いせいか、私はどうしても「これはどこに向かっているのか」という着地点を求めてしまう傾向があるのだろう。でも本来エッセイはそうした構成美を求める読み方に適さない作品なのかもしれない。ただ、気軽に楽しむ読書が好きな私であっても、もう少し何かしらの温かみや深みが欲しかった。 悪くはないのだが、わざわざ最後まで読む必要があったのかなと、今はそう感じている。
古生物学者の夫、名前が関根という兎、自宅を半焼させた祖母——こんなキャスト揃いの家族エッセイ、そうそうありません。でも読み始めるとすぐに引き込まれてしまいました。 著者が描く日常って、どれも本当に「わざわざ書くほどのことか?」と思うような些細なエピソードばかりなんです。でもそこが最高。脱いだ服を雪に隠すとか、兎とのやり取りとか、読んでいると「え、ちょっと待って、なんでそんなことに?」と思わず笑ってしまう。 軽妙なタッチで書かれているので、難しい印象批評とかじゃなく、本当に友人が話しかけてくるような感覚で読める。大学院の研究で疲れた脳をリセットするのにぴったりでした。個性的でちょっと変わった人たちの話なのに、どこか愛おしく感じられるのは、著者の眼差しの優しさのせいだと思います。 気軽に読めるエッセイをお探しの方、特に身近な人間関係の面白さを再認識したい時にお勧めです。こういう本を読むと、自分の周りの「些細なこと」も実は結構大事だなって感じます。