直人の本棚
年収90万円でハッピーライフ

年収90万円でハッピーライフ

大原 扁理 筑摩書房 2019年7月9日

感想

最近、世間で話題になっているこの本を手に取ってみました。58年生きてきた身としては、社会的な「正解」を無意識に受け入れてきた自分の人生を改めて問い直す良い機会になりました。 著者の大原扁理氏が年収90万円という限定的な条件下で、いかに充実した生活を送るのかという提案は、一見すると奇想天外に思えます。しかし読み進めるうちに、それは単なる貧乏生活術ではなく、人生における幸福とは何かを根本から考え直す思想書であることに気づきます。 会社員として経済的安定を求めてきた私たちの世代にとって、「成功」や「蓄え」の概念そのものを揺さぶる視点は、ある種の解放感をもたらします。衣食住のノウハウと思考術の融合が、理屈っぽくなりすぎず、むしろ温かみのあるエッセイとして機能している点も秀逸です。 今の自分たちの価値観に再考を促す良書です。定年を控えた人間にとって、特に示唆に富んでいます。