直人の本棚
感想

話題の本ということで手に取った一冊だが、予想以上に良かった。明治の激動期を舞台に、古書店「書楼弔堂」に集う様々な人物たちの人生と本との関係を描いた作品だ。 何より魅力的なのは、歴史上の実在人物たちが登場人物として丹念に描き込まれている点である。徳富蘇峰、岡本綺堂、竹久夢二といった当時の知識人たちが、それぞれ悩み、迷いながら自分たちの一冊を求める。その時代の空気感が実に生き生きと感じられる。 書店という設定も秀逸で、本という存在を通じて人間がどう繋がり、どう救われるのかという普遍的なテーマが静かに立ち上がってくる。年を重ねた身としては、本との出会いが人生にどれほどの影響を与えるかについて、改めて考えさせられた。 約六年ぶりのシリーズ作という触れ込みにも納得できるほど、完成度が高い。エッセイと小説の境界を程よく行き来する文体も、著者の手腕を感じさせる。ゆっくり、じっくり味わいたい一冊である。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ